谷口彰悟、ひとり暮らしのススメ 「自由だからこそ、大学4年間の取り組みが、のちのち大きな差となった」 (2ページ目)
【3バックの中央で守備陣をコントロール】
ミャンマー戦は日本がボールを持つ時間も長かったように、それほど自分の仕事量は多くはなかった。しかし、最終予選を戦う相手や強豪チームとの対戦になった時は、プレーや戦い方も変わってくるだろう。3バックの真ん中である自分の配給、ボールをつけるポイント、タイミングひとつで大きく状況を変えられるだけに、重要なポジションになると再認識した。
単純にボールを持った時に、右から攻めるのか、左から攻めるのかも、自分のさじ加減ひとつで変わってくる。それを考えると、さらに全体を見てボールを動かしていく力を養わなければいけない。
日本代表がワールドカップで上を目指していくためには、4バックでも3バックでも戦える力を身につける必要がある。個人的に前回のカタールワールドカップを経験して感じたことでもあった。それだけに、3バックは臨機応変な戦い方を目指す日本代表の武器のひとつになっていくし、武器にしていくべきだろう。
2次予選を終えて迎えたシーズンオフは、完全にスイッチを切って、身体、心、頭をリフレッシュさせることに全振りしている。
次の試合のことを考えずに一日を終え、明日のことを考えずにすむだけで、肩の荷が下りるといえばいいだろうか。心の底から(スイッチを)オフにできている感覚がある。
少なからずシーズン中はストレスを抱えながら生活しているだけに、英気を養えるこの期間は、次のシーズンのためにも大事な時間だったりする。
新シーズンを前に思い出すのは、新天地にて始める新生活のことだ。
自分にとって、大きく環境が変わったのは2010年──18歳の時だろう。
僕は、地元である熊本を飛び出し、筑波大学に入学した。初めて親もとを離れて暮らす日々には、楽しみもあれば、不安もあった。
その不安とは、果たして身の回りのことがきちんとできるだろうか、ということ。掃除、洗濯、そして食事──高校までは親がご飯を作ってくれたり、洗濯をしてくれたりするのが当たり前の環境だった。
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