ベトナム戦で森保監督が試した 2つの布陣 。攻撃重視の4-2-3-1はW杯本番でも機能するか? (3ページ目)
後半の4-2-3-1は効果を見せたが......
1点ビハインドの日本は、後半開始から旗手を下げて右ウイングに伊東を起用し、布陣を4-2-3-1に変更。ダブルボランチを柴崎と原口が務め、1トップ下に久保を配置した。
「ダブルボランチにして後ろを安定させたうえで、サイド攻撃を右の伊東と左の三笘として、攻撃力を上げようと考えた。久保を中央に移してライン間でチャンスを作ってもらうことを考えて、そのかたちにした」(森保監督)
昨年11月16日の第6節オマーン戦でも、ハーフタイムにインサイドハーフの柴崎に代えて三笘を左ウイングに起用して、布陣を4-3-3から4-2-3-1に変更したことがあったが、今回も攻撃的に戦うための手段として、森保監督は布陣変更に踏みきった。
守備バランスに重きを置く場合は4-3-3、攻撃重視のオプションとして4-2-3-1。少なくとも、これが現段階における本大会に向けたイメージだと思われる。これは、本番までの強化プロセスを見ていくなかで、基準とすべきポイントになる。
そして、吉田のゴールで追いついたあとの61分、ダブルボランチを本職の守田英正と田中碧に、1トップ下を南野拓実に代えて、布陣変更の効果はより顕著に表れた。
ひとつは、両ウイングが幅をとり、前線中央のターゲットが増えたために、くさびの縦パスが増加したこと。とりわけ右SB山根が斜めに入れるくさびは4本を数え、そのうち3本を1トップの上田が収め、そのほかにも上田は3本の縦パスを受けている(計6本)。
後半に日本が記録した敵陣での縦パスは計12本あり、そのうち11本が成功。自陣高い位置からの縦パスも、3本あった(前半は0本)。
もうひとつ目立っていたのが、クロスの本数だ。日本が後半だけで供給したクロスは、前半の9本から33本に急増し、右から18本、左から15本と、左右のバランスも偏ることはなかった。そのなかで、伊東が9本のクロスを供給したのはいつもどおりの傾向だが、左の三笘も8本を供給した。
後半は一方的に日本が敵陣でプレーしていたとはいえ、ドリブル突破が主体だった三笘のプレーが、後半からは周囲とのパス交換をメインとするプレーに変化したのは、布陣変更の効果のひとつとして見落とせない現象と言えるだろう。
33本のクロスのうち、成功したのが11本だったこと、シュート12本を後半に記録しながら1点止まりだったことは、今後の課題として残ったが、攻撃力を上げて勝ちにいく戦術変更の狙いは、それなりの効果を示したと言える。
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