原口元気が洩らしていた弱音。「気持ちが乗ってこない」から変わっていったW杯最終予選の心情
W杯切符を手にし、消化試合となったアジア最終予選の最終節ベトナム戦。原口元気にはこの予選で2度目となる先発のチャンスが与えられた。
森保一監督は吉田麻也と山根視来以外のメンバーを全て入れ替え、確定していないB組首位突破を狙いながらも、この試合をサブ組のテストと位置づけていた。
2020年以降、コロナ禍で公式戦以外の試合をなかなか組めず、チーム作りに苦労していたが、それが実際に表面化したような試合だった。チグハグなコンビネーション、選手の特徴と合わない配置とシステム。このベトナム戦前日に、主将である吉田が、森保ジャパンのストロングポイントを「11人以外のレベルの高さ、誰が出ても変わらない質」と話していたが、それを証明するには至らなかった。
そんななかで、落ち着いたプレーを見せていたのは原口元気だ。前半は中盤の右サイドで、後半はボランチでプレーし、吉田の同点弾につながるシュートを放っている。
ベトナム戦は、最終予選初戦のオマーン戦以来の先発となった原口元気この記事に関連する写真を見る 序盤に2敗して苦しみからスタートしながら、盛り返していった今回の最終予選だが、原口元気は"逆"を行くように、辛酸を舐めた側の選手だ。敗れた初戦オマーン戦では先発したが、前半のみで交代。続く中国戦ではベンチスタートで50分から出場。敗れた第3戦サウジアラビア戦では59分から出場している。
4-3-3のシステムが使われ始め、6連勝の最初の試合となった第4戦オーストラリア戦では出場機会は訪れなかった。さらに11月のアウェーのベトナム戦とオマーン戦では88分からの出場にとどまった。
ちなみにこのアウェーのベトナム戦、欧州組は日本協会の手配したチャーター便で直接現地入りしたが、他の10人とともに約24時間、機内に閉じ込められるトラブルに見舞われた。さらに現地ハノイの気温は30度前後と、すでに10度を切る冬の気温になっていたドイツとは大きな差があり、適応に苦しんだ。この時のフィジカルのダメージはことのほか大きく、所属のウニオン・ベルリンに戻ってから、試合には出場していても、しばらくの間、体調が戻らなかったという。
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