日本代表にスペインの名指導者から厳しい指摘。「ベトナム戦は試合プランで後手に回っていた」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「日本はオーストラリア戦でワールドカップ出場を決め、ベトナム戦では9人もメンバーを入れ替えて挑んでいる。テストの狙いであるのは分かる。しかし、ごっそりと変えてしまったことでお互いの理解が深まらず、必然的に連係不足に陥っていた」

 スペインの慧眼、ミケル・エチャリはそう言って、日本が本拠地でベトナムに1-1と引き分けた試合について振り返っている。

 エチャリはスペインの名門、レアル・ソシエダで強化部長、育成部長、セカンドチーム監督などを約20年、歴任してきた。エイバルを監督として率いていた時代には、非力な戦力だったチームを際立った守備戦術を用いることで、2シーズン連続で2部に残留させている。最近まで、長く名誉職的にバスク代表監督も務めていた。

 そのエチャリは、格下ベトナムに対しての思わぬ苦戦をどのように見つめたのか?

ベトナムの先制ゴールは日本の致命的なミスから生まれたベトナムの先制ゴールは日本の致命的なミスから生まれたこの記事に関連する写真を見る「ベトナムは5-4-1の守備的布陣だったが、各ラインがバランスを保って、戦術的によく鍛えられていた。たとえば、ウイングバックの攻め上がりのタイミングがよく、しばしば日本を悩ませている。とりわけ前半はすばらしい動きで、サイドで主導権を渡さず、中央を堅く閉じたことによって、日本を容易に奥深くまで侵入させなかった。

 つまり、日本は思うような攻守ができていない。メンバーを総入れ替えしたことによって、各選手が前半はペースを握れず、戸惑いを隠せなかった。戦術ベースがゼロに等しく、自ら戦いを難しくしていた。

 そして21分、右サイドの緩慢な守備で自陣深くまで攻め込まれてCKを与えると、致命的ミスが出た。相手との対格差を考えたら、マンマーキングの守備で何の問題もないはずだったが、不十分なゾーンディフェンスで守り、ファーポストの選手をフリーにし、思い切りヘディングで叩かれてしまった。やらずもがな、の失点だったと言える。

 日本は4-3-3のフォーメーションを組んでいたが、戦術を運用できていない。プレーに『詰まり』が感じられた理由は、それぞれの距離感が悪かったせいだろう。

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