久保建英が森保ジャパンで輝けない理由。「守備ありき」の4-3-3では彼のよさは引き出せない
森保ジャパンでの久保建英は、とても真価を発揮しているとは言えない。
久保はスペイン、リーガ・エスパニョーラで3シーズン目となり、今や有力なアタッカーのひとりである。所属するマジョルカでは、先発の座をつかみ取っている。そのパスを所有しているのは世界に冠たるレアル・マドリードであり、才能に疑いの余地はない。
森保ジャパンでくすぶり続けている理由は、検証する価値があるだろう。
3月29日、埼玉スタジアム。アジア最終予選の最後となるベトナム戦で、久保は昨年9月の中国戦以来の先発出場の機会を得ている。スタートポジションは、右サイドのアタッカーだった。
ベトナム戦に先発、61分までプレーした久保建英この記事に関連する写真を見る 前半、久保はボールを持って相手と対峙すると、随所にうまさを見せた。旗手怜央の頭に合わせた左足のクロス、中山雄太のクロスに合わせて放ったヘディングシュート、あるいは旗手の抜け出しへのスルーパスなど、どれも高いレベルだった。
しかし、ほとんどが単発に終わっている。
この日、森保監督が選択した4-3-3はうんざりするほどに機能していなかった。特に中盤の選手は距離感がばらばらで、プレーにテンポを与えられず、むしろ相手に攻め手を与えていた。
すでにワールドカップ出場を決めたこともあり、テスト的起用はあって然るべきだが、吉田麻也(及び、酒井宏樹に代わって起用されている山根視来)以外はメンバー総入れ替えという「雑さ」。案の定、全員が「アピール」に先走り、連係不足は明白だった。各所でプレーがノッキングを起こし、そのズレは焦りを生み、拙攻のもとになっていた。
久保はコンビネーションを使い、切り込んでいくプレーが特徴と言える。チームの組織不全により、必然的に手詰まり感が透けて見え、気負いが目立った。その結果、狙いすぎた股抜きが足に当たって失敗したり、無理矢理なシュートが明後日の方向へ飛んでいったり、プレーに冴えが見られなかった。
そもそも、昨今の森保ジャパンは構造的に久保にとってハンデがあるのだ。
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