久保建英が森保ジャパンで輝けない理由。「守備ありき」の4-3-3では彼のよさは引き出せない (2ページ目)
森保監督の構想に入るのは現状では難しい
同じ4-3-3でも、FCバルセロナのように「ボールありき」ではない。基本的には受け身で、「守備ありき」。相手のスペースを消し、出どころを封じ、挟み込んでダメージを最小限にすることを主眼に置いている。一方、攻撃はカウンター主体で、手数をかけない。そのためポゼッションは問わず、スピード、パワーのある選手の一発に託す。
その結果、サイドは右ではスピードに長じた伊東純也がエースとして君臨し、左はストライカー的要素の強い南野拓実が好んで使われるようになった。久保本人もジレンマがあるはずだ。
その一方で、ベトナム戦は光明もあった。
後半の日本は4-2-3-1へシステムを変更し、トップ下に移った久保が輝きを取り戻している。バックラインの前を自在に動き、連係を取りやすくなった。全体が高い位置でボールを持つようになって、久保とも関われる選手が多くなり、面目躍如となった。
後半の立ち上がり、久保は右サイドに流れてからサイドバックを走り込ませ、チャンスを作っている。右CKではファーサイドに柴崎を走らせ、決定機を演出。トップ下からサイドに流れて相手ディフェンスを引っ張り、上田綺世のポストプレーから伊東純也の決定機にも貢献した。
そして54分、タイミングよく左へ開くと、持ち上がった吉田麻也のパスを受け、相手ラインを下げた後、バックラインの前に入った原口元気へ左足で絶妙の横パスを流し入れる。原口のシュートのこぼれを吉田が詰め、同点弾となった。
久保は少しずつプレーリズムをつかんでいた。60分にはラインの間で受け、即座に前を向いて、上田とのワンツーから得意の左足を一閃。GKが弾く、際どいシュートを放った。だが森保監督は、ようやくフィットしてきた久保を、61分にあっさりとベンチへ下げている。指揮官は、久保のパフォーマンスに満足していなかった。それは交代という事実に如実に表れていた。
久保がW杯で森保監督の構想に入るのは、現状では難しいと言える。あくまでひとつのオプションだろう。それは彼のよさが引き出されるチーム構造ではないからだ。
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