【プロ野球】西武・仁志敏久コーチが語る"令和の打撃指導論" 「打てるようにしてやるなんておこがましい」 (2ページ目)
選手たちに話しているのは、自分の感覚的にちょっと合わないという時は、絶対にやめてくれということです。『その方法がダメなら、もう一回違うことを考えよう』という話はいつもしているつもりです」
【上の人間が言うから正しいわけではない】
選手たちを引き上げるうえで、仁志コーチが最も大事にしているのは「伝えることの意味」を突き詰めることだ。
「ただこちら側の意見を言うだけではなく、理解をしてもらわないといけない。そして、伝えていることが的確でないといけない。逆に矛盾しますけど、こちらが伝えていることはすべてではない、ということも理解してもらわないといけない。幅が広いですけど、"伝える"という意味合いをよく把握していなければいけないと思います」
以前のように、教える側のコーチが上で、教えてもらう選手が下、という関係性ではない。仁志コーチがつづける。
「監督やコーチが一方的に言っても、選手にも意思があるし、当然それまでの人生での考え方もある。立場的に上の人間が言うから、正しいわけではありません。選手の意思もちゃんと尊重する。意思があることを理解して話をしないと、『あれをやれ』『これをやれ』になってしまうのはよくあると思います」
仁志コーチは現役引退後、侍ジャパンU12やDeNAの二軍監督を務め、伝え方を現場で学んだ。自分が正しいと思って伝えても、相手はそう捉えていない場合もある。表現次第ではうまく伝わらないこともあった。
そもそも選手とコーチが対等に対話をできないと、課題の解決につながりにくい。コーチが選手に何を言っても「はい」や「わかりました」しか返ってこなければ、頭や心のなかが透けて見えてこないからだ。
はたして、仁志コーチに「合わないです」「わかりません」と言える選手はいるのだろうか。
「たまにいます。練習であまりいい感じではないなと思って、こっちから『どう?』って聞くと、『ちょっとわかんないです』と言う選手もいます。選手から言えなければ、こっちが気づいてあげるしかないですよね」
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