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楽天がドラフトで指名の8人中5人が高校生のワケ 将来のビジョンに見合った逸材たち (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko

 8位の青野拓海は右中間に放り込める強打を評価され、野手として指名された。中学時代は富山ではちょっと知られた強肩・強打の"捕手"だった。三塁手としての育成プランもあるようで、まずは春から痛めていた腰の具合を万全に。

 そして1位の古謝樹だ。リリースポイントが見えづらいという特徴は、実戦で驚くほど強力になる。140キロ台前半でも、リリースが見えにくくて打者が150キロぐらいに感じてくれれば、それだけで大きなアドバンテージだ。

 古謝は145キロ前後のアベレージでストレートを投げられて、左腕にしか投げられないクロスファイアーの食い込みも強力。変化球もスライダー、カットボール、ツーシーム......どの球種も打者に近い位置で曲がるため見極めが難しい。素材としては文句なしだ。

 ドラフト直後の公式戦で痛打されたのは、この投手の成功体験の少なさが原因だ。確固たる自信がないから、大舞台やマイペースが崩れた時に脆さが出てしまう。これを乗り越えた時、古謝のピッチングはさらに盤石なものになる。

 最後に、6位指名の中島大輔の存在が大きい。快足を生かした広大な守備範囲、そして勝負強いバッティング。それ以上に、今年春と秋、2季連続チームを優勝へと導いたキャプテンシーは、将来のチームリーダーの資質も秘める。

著者プロフィール

  • 安倍昌彦

    安倍昌彦 (あべ・まさひこ)

    1955年、宮城県生まれ。早稲田大学高等学院野球部から、早稲田大学でも野球部に所属。雑誌『野球小僧』で「流しのブルペンキャッチャー」としてドラフト候補投手のボールを受ける活動を始める。著書に『スカウト』(日刊スポーツ出版社)『流しのブルペンキャッチャーの旅』(白夜書房)『若者が育つということ 監督と大学野球』(日刊スポーツ出版社)など。

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