楽天がドラフトで指名の8人中5人が高校生のワケ 将来のビジョンに見合った逸材たち
10月26日にドラフト会議が終わって、3週間が経った。各球団は指名した選手たちへのあいさつに忙しい時期だ。今年も悲喜交々いろいろあったドラフトだったが、とくに印象に残ったチームについて、スカウトや球団関係者などの証言も参考に検証してみたい。今江敏晃氏を新監督に迎え、新たなスタートをきる楽天。今年のドラフトでは指名した8人のうち5人が高校生というフレッシュな顔ぶれが並んだが、その思惑とは?
楽天から1位で指名された古謝樹 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る
【将来性豊な投手たち】
指名一覧
支配下ドラフト
1位× 常廣羽也斗(青山学院大)/投手/右投右打
1位× 前田悠伍(大阪桐蔭高)/投手/左投左打
1位 古謝樹(桐蔭横浜大)/投手/左投左打
2位 坂井陽翔(滝川二高)/投手/右投右打
3位 日當直喜(東海大菅生高)/投手/右投右打
4位 ワォーターズ璃海ジュミル(日本ウェルネス沖縄高)/内野手/右投右打
5位 松田啄磨(大阪産業大)/投手/右投右打
6位 中島大輔(青山学院大)/外野手/右投左打
7位 大内誠弥(日本ウェルネス宮城高)/投手/右投右打
8位 青野拓海(氷見高)/内野手/右投右打
ドラフト会議のあと、何かの記事で各球団の"採点"が掲載されているのを見て、楽天はかなり厳しい評価を受けていたのだが、いやいやとんでもない思い違いだと思った。
大学生投手が稀にみる人材豊富で、他球団が「即戦力候補」を何人も指名しているのに対して、2位以下に高校生の指名を続けた楽天の姿勢に疑問を感じたのか、それとも指名された選手たちのことをよく知らないのか......いずれにしても、他球団が大学生、社会人を求めている間に、楽天は将来のビジョンに見合った高校生の逸材を獲った。それが今年の"楽天ドラフト"のホントのところだろう。
高校生投手は、体が大きくて、強くて、スピードがあればいい......そういう"基準"で獲得するのはもう昔のことだ。今は高校生でも、上位指名となれば変化球と制球力が絶対条件として要求される。
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著者プロフィール
安倍昌彦 (あべ・まさひこ)
1955年、宮城県生まれ。早稲田大学高等学院野球部から、早稲田大学でも野球部に所属。雑誌『野球小僧』で「流しのブルペンキャッチャー」としてドラフト候補投手のボールを受ける活動を始める。著書に『スカウト』(日刊スポーツ出版社)『流しのブルペンキャッチャーの旅』(白夜書房)『若者が育つということ 監督と大学野球』(日刊スポーツ出版社)など。