松尾汐恩が振り返るドラフト、運命の日 指名の瞬間「じ、自分や」と顔が引きつり、恩師の言葉に身が引き締まった (4ページ目)
そして9月27日には、松尾が少年時代に出会い、プロへ進むきっかけをつくってくれた藤田一也の引退セレモニーが横浜スタジアムで開催された。
「セレモニーを見てすごく感動しました」
交錯する運命。松尾は感慨深い表情を見せた。
「小学生の時に一緒に練習させてもらって、プロになってからは1年間、チームで一緒に過ごすことができました。自分からいろんなことを聞いて、それを受け入れてくれた大先輩。本当にご縁があったと思いますし、自分にとって一也さんと一緒にいられた時間は、本当にプラスになりました。これからも話す機会があればどんどん聞いていきたいですね」
そう言うと、ひと呼吸おき、松尾は覚悟を決めたようにつづけた。
「自分も一也さんのように一日でも長く、プロとしてプレーして行きたいと思います」
かけがえのない時間を過ごすことができたドラフト会議からのこの1年。今しか得ることのできない出会いや経験により、プロとして確実に成長した松尾。その目線は常に高く、光り輝く未来を見つめている──。
著者プロフィール
石塚 隆 (いしづか・たかし)
1972年、神奈川県出身。フリーランスライター。プロ野球などのスポーツを中心に、社会モノやサブカルチャーなど多ジャンルにわたり執筆。web Sportiva/週刊プレイボーイ/週刊ベースボール/集英社オンライン/文春野球/AERA dot./REAL SPORTS/etc...。現在Number Webにて横浜DeNAベイスターズコラム『ハマ街ダイアリー』連載中。趣味はサーフィン&トレイルランニング。鎌倉市在住
フォトギャラリーを見る
4 / 4