【WBC2026】侍ジャパンの前に立ちはだかるベネズエラ 「負けてなお強い」を印象づけた戦力状況は?
ベネズエラ打線の中軸を成すアラエス(右)とアクーニャJr. photo by Getty Images
前編:WBC2026準々決勝「侍ジャパンvs.ベネズエラ」展望
日本時間3月15日(日)10時にプレーボールとなる第6回WBC(ワールドベースボールクラシック)準々決勝で「侍ジャパン」と対戦するベネズエラ。グループリーグではドミニカ共和国に敗れたとはいえ、メジャーリーガーを中心に、攻守ともにバランスの取れた布陣で強力だ。
日本の前に立ちはだかるベネズエラのここまでの戦いぶりを踏まえて戦力を分析する。
【"負けてなお強し"を印象づけた布陣】
ベネズエラは派手さこそないが、攻守のバランスが取れた危険なチームーー第6回WBC準々決勝で日本は難敵と対戦することになった。ハイレベルなD組を3勝1敗で突破したラテンの強国は、2大会連続制覇を目指す日本にとっても警戒すべきチームであることは間違いない。
「(ドミニカ共和国戦でも)選手たちはあきらめなかった。優勝したいなら強いチームを倒さなければならない。日本が本命ならそれに備えるだけのことだ」
オマール・ロペス監督がそう述べるとおり、ベネズエラは11日(日本時間12日)のドミニカ共和国戦でも真っ向勝負を演じた。序盤からリードを許しながら、同組の大本命と目されたライバルと最後まで激戦を展開。惜しくも5―7で敗れたものの、"負けてなお強し"という底力を感じさせる戦い方ではあった。
今大会が始まる前、ベネズエラの戦力には少なからず疑問が呈されていた。故障や保険問題などでホセ・アルチューベ、パブロ・ロペス、ミゲール・ロハス、ホセ・アルバラード、ロベルト・スアレスといったベテランの欠場が決定。過去のチームと比べて層が薄くなった感は否めず、ベネズエラの地元メディアですら「特に投手陣はちょっと厳しいかも」と話していたものだった。
実際にD組での初戦に登板した6人の投手中5人、スタメン出場した9人の野手中5人がWBC初出場。それでも蓋を開けてみれば、ここまでのベネズエラはベテランと若手がうまく噛み合い、瑞々(みずみず)しいプレーを続けている。
打線では2024年まで両リーグをまたいで3年連続メジャー首位打者のルイス・アラエス(ジャイアンツ)が軸となり、今大会では打率.500(14打数7安打)、2本塁打、9打点と絶好調。2023年にメジャー史上初の「40―70(41本塁打&73盗塁)」を達成したロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)が1番打者として牽引し、こちらも打率.308、出塁率 .526と力を発揮してきた。さらにウィルソン&ウィリアムのコントレラス兄弟(所属はそれぞれレッドソックス、ブリュワーズ)、ウィルヤー・アブレイユ(レッドソックス)、ジャクソン・チョウリオ(ブリュワーズ)、エウヘニオ・スアレス(レッズ)、サルバドール・ペレス、マイケル・ガルシア(以上、ロイヤルズ)といったメジャーの主力級が揃ったラインナップは切れ目がない。
投手陣の健闘も光っている。開幕のオランダ戦では合計6投手の継投で6―2で勝利し、9日のニカラグア戦でも7人の投手を繋いで4―0の完封勝利を飾った。最新のドミニカ共和国戦でも5回以降は5人の救援投手が無失点でつなぎ、おかげで終盤までわからない接戦になった。これらのリリーバーたちを語る時、ロペス監督の表情は誇らしげになる。
「人は名前を期待するものだが、必ずしも名前のある選手が結果を出すとは限らない。マウンドに上がる投手こそが相手を打ち取る責任を負っている。この大会で成功するために、大きな名前は必要ないんだ」
もちろんアクーニャ、アラエスといったビッグネームの働きも重要だが、彼らだけで勝ってきたわけではない。それぞれ3試合無失点のアンドレス・マチャド(オリックスでプレー)、ホセ・ブット(ジャイアンツ)、アンヘル・セルパ(ブリュワーズ)、昨季カブスで22セーブを挙げたダニエル・パレンシアといったまだ比較的無名の救援投手たちこそがベネズエラの象徴となる。
アンドレス・ヒメネス遊撃手(ブルージェイズ)は大会前、「ベネズエラ代表として初めて出場する選手も多く、みんながワクワクしている。これまでとはひと味違ったモチベーションが生まれているように思う」と話していたが、実際にフレッシュなチーム内にまとまりが生まれているのだろう。
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著者プロフィール
杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)
すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう

