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ダルビッシュ有の投球フォーム研究も... 菅野智之が大学時代に語っていた「究極のベストピッチ」

  • 安倍昌彦●文 text by Masahiko Abe

流しのブルペンキャッチャー回顧録
第5回 菅野智之(ロッキーズ)後編

 全力投球で30球を投げてくれたあとに語り合ってみて、菅野智之の懐の広さは、想像の100倍ほどだった。
 
 2時間を優に超えて語ってくれた「菅野智之の野球の世界」は、単行本一冊が書けるほどの濃密な内容だった。キリッとした語り口、そして、いつも理路整然。話に抑揚があって、わかる話ができる。菅野とは、そういう男だ。

第6回WBCに侍ジャパンの一員として戦う菅野智之 photo by Sankei Visual第6回WBCに侍ジャパンの一員として戦う菅野智之 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る

【実戦で磨かれた投球術】

「大学に入って、だんだんとスピードと球威がアップしてきました。でも、下級生の頃は『ストレート=強気』っていう思い込みがあって、ピンチに力任せの勝負に出て、痛い目にあったことも何度もあって......」

 そこで、「カットボール」という強力な武器を開発した。カットを投げておけば、なんとかなる。困った時に頼れるボールを獲得していたのだ。

「器用なほうだと思うんです、自分でも。不器用よりは器用に越したことはないですけど、逆に変化球ならコントロールできてしまうので、狙われることもある。変化球で安易にストライクをとりにいくことはしないようにしています」

 変化球は覚えると使いたくなる。そこがピッチャーの落とし穴か。

「間違いないですね」
 
 菅野の口ぐせだった。彼にこう反応されるとうれしかった。

「今、自分が投げている球種、スライダー、カーブ、カットボール、フォークなんですけど、じつは自分の球種って、もっとたくさんあるんです。でも、今の自分にとって必要なことは、持ち球をコーナーにきちっと投げること。そういうことが完璧にできてから、また次があるんだと考えます。

 スライダーも、タテの変化と横の変化で使い分ければ、これで球種はふたつになるし、カットだって曲げたり落としたりで、やはりふたつ。そこにストレートとカーブが加われば、もう6種類ですから。その6種類をベース(本塁)の内、外で微妙に動かせたら、実際はさらに球種は増えていくんです」

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著者プロフィール

  • 安倍昌彦

    安倍昌彦 (あべ・まさひこ)

    1955年、宮城県生まれ。早稲田大学高等学院野球部から、早稲田大学でも野球部に所属。雑誌『野球小僧』で「流しのブルペンキャッチャー」としてドラフト候補投手のボールを受ける活動を始める。著書に『スカウト』(日刊スポーツ出版社)『流しのブルペンキャッチャーの旅』(白夜書房)『若者が育つということ 監督と大学野球』(日刊スポーツ出版社)など。

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