岡田監督や新庄監督も重視する「6番打者」 高木豊が解説するその役割と、現役と歴代で理想的6番を挙げた
高木豊が語るプロ野球の「打順」 前編
「6番打者」について
打順の役割はそれぞれだが、チーム事情や識者の見解によってさまざまな意見が出てくるのが「6番打者」。かつて、阪神の岡田彰布監督は「ビッグイニングを生み、試合を決定づける打順」、日本ハムの新庄剛志監督は「僕の4番打者は6番打者。ランナーがたまった場面で一番まわってくる」と、その重要性を主張していた。
かつて大洋ホエールズ(現横浜DeNAベイスターズ)で活躍し、現在は野球解説者やYouTubeでも活動する高木豊氏はどう考えているのか。6番打者の定義、現役と歴代で理想の6番打者を聞いた。
高木氏が「6番」に適した打者として挙げた日本ハムの万波中正(左)と、黄金時代の西武で活躍した石毛宏典この記事に関連する写真を見る***
――6番打者の定義や適した打者のタイプについて、高木さんの考えはいかがですか?
高木豊(以下:高木) 僕の考えでは、「走・攻・守」が三拍子揃った選手であってほしいです。ただ、ピッチャーが打席に立つセ・リーグと、DHがあるパ・リーグの6番では少し意味合いが変わりますし、クリーンナップにどういう打者を置いているか、といったことでも変わってきます。だから当然ですが、チームによって6番に対する考え方は違うと思いますよ。
――セ・リーグの場合はどんな6番打者が理想ですか?
高木 繰り返しになりますが、基本は三拍子が揃っていてほしい。攻撃面ではチャンスを広げるために、6番が出塁したら足を使いたいんです。
9番のピッチャーに打順がまわって代打が出る時は別ですが、続投でそのまま打席に入るとなると、チャンスの場面などでは8番との勝負を避けられてピッチャーとの勝負になることも多い。そういう意味で、盗塁などで次の塁に進み、ワンヒットで還ってこられる状況を作れるような選手に入ってほしいですね。
パ・リーグでも基本的に求める能力は同じですが、9番にDHで打者が入るので、そこまで要求しなくてもいいと思います。
――6番打者を固定していないチームも多いので比較は難しいでしょうが、今シーズンのプロ野球で理想の6番打者を挙げるとすれば?
高木 開幕当初から5月中旬まで6番を打っていた、DeNAの関根大気です。繋ぎもできるし、勝負強くて試合を決めることもできます。長打力は物足りないですが、チャンスメイクやランナーを返す役割も十分に果たしていました。
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著者プロフィール
浜田哲男 (はまだ・てつお)
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。