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【MLB】サイ・ヤング賞まっしぐらの山本由伸と違和感を言い出せなかった佐々木朗希――明暗分かれた日本人先発投手

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

リーグトップクラスの成績を残す山本(右)と故障者リスト入りした佐々木 photo by Getty Imagesリーグトップクラスの成績を残す山本(右)と故障者リスト入りした佐々木 photo by Getty Images

前編:ドジャース日本人3投手の現在地

ロサンゼルス・ドジャースに所属する3人の日本人投手――山本由伸、佐々木朗希、大谷翔平は、今季、同じユニフォームに袖を通し、世界一を目指している。しかし、それぞれの立場と置かれた状況は大きく異なる。

山本はすでにエースとしての地位を築きつつあり、安定した投球でローテーションの柱となっている。佐々木は肩の不調により、長期離脱の可能性すらある不透明な状況だ。

【山本をメジャー最高級の投手たらしめる脅威のスプリッター】

 山本はエースとしての存在感を高めている。今季はチーム最多の9試合に先発し、51イニングを投げて5勝3敗、防御率2.12という安定した成績。フィラデルフィア・フィリーズのザック・ウィーラーやサンフランシスコ・ジャイアンツのローガン・ウェブらとともに、ナ・リーグのサイ・ヤング賞争いのトップグループに名を連ねている。

 これまでのベストゲームは、4月18日(日本時間19日)のテキサス・レンジャーズ戦だ。7回を投げて5安打10奪三振、サイ・ヤング賞を2度受賞しているジェイコブ・デグロムとの投げ合いを制した。

「すばらしい投手と投げ合えるのは自分自身うれしく思いますし、より気を引き締めて、ひとつのミスもしないように心掛けて投げました」と、山本は試合後に語った。また、デーブ・ロバーツ監督が山本を「現時点でナ・リーグ最高の投手」と称賛したことについては、「評価していただけるのはすごくうれしいですし、監督やコーチにもたくさん褒めていただいているので、やりがいを感じます。もっともっと良いピッチングを目指して頑張っていきたいです」と意欲を語っていた。

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著者プロフィール

  • 奥田秀樹

    奥田秀樹 (おくだ・ひでき)

    1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。

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