【高校野球】4年ぶり歓喜の陰で... 「大阪桐蔭史上最高の投手になるかも」と評された吉岡貫介はなぜ決勝で登板しなかったのか? (2ページ目)
智辯学園(奈良)との決勝戦は、7対3で大阪桐蔭がリードして9回を迎えた。最後は、エースナンバーを背負う3年の吉岡に託すのではないか──。そんな思いが一瞬よぎった。
前田悠伍(ソフトバンク)が2年時の2022年の選抜決勝では、最後の2イニングを、3年生の背番号1・川原嗣貴(ホンダ鈴鹿)に任せた場面があった。あの時は大差がついた8回からのスイッチだった。
しかし、今春は9回も川本がマウンドに上がり、最後はじつに15個目の三振を奪って試合を締めくくった。
昨年は春夏とも甲子園を逃し、頂点からは丸3年遠ざかった。わずか3年にもかかわらず、大阪桐蔭に向けられる世間の目は厳しかった。そうした背景もあり、西谷監督は最後まで石橋を叩いて渡った。その結果が川本の完投であり、この春の時点で吉岡への信頼がまだ完全ではなかったことも確かだろう。
とはいえ、この春の活躍によって川本に一気に注目が集まったが、吉岡が万全であれば、その視線を一身に集めていてもおかしくなかった。吉岡とは、それほどの力を秘めた投手なのだ。
【関係者が口を揃えた異次元の球質】
吉岡への関心が高まったのは、1年前の春の大阪大会だった。ゴールデンウィーク中に行なわれた履正社と大阪学院の5回戦を、金光大阪の横井裕一監督と観戦していると、合間に夏へ向けた話題から大阪桐蔭の話へとつながった。すると、横井のトーンが一気に上がった。
「桐蔭にまたとんでもないのが出てきたみたいです。中野(大虎)、森(陽樹)がいて、2年の吉岡がまたとんでもないボールを投げるみたいで。桐蔭と練習試合をしたチームの監督さんが、『大阪桐蔭史上最高の投手じゃないか?』と言っていましたからね。とにかくストレートが速くて、変化球も一級品。打てない、当たらないと絶賛でした」
歴代の大阪桐蔭の"怪物"たちのすごさを熟知する横井である。大阪桐蔭史上最高の投手となれば、藤浪や辻内崇伸、中田翔、前田をも超えることになる。さすがにそこまでは......という思いもあっただろうが、語り手の尋常ではない熱量に、新たな怪物候補の出現を感じたのかもしれない。
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