【高校野球】春の大阪大会で公立校唯一のベスト8 堺東の快進撃はいかにして起きたのか?
堺東高校「公立1位から大阪1位」への挑戦(前編)
7月5日、京セラドームで高校野球の大阪大会が開幕した。かつては大阪大会ならではの醍醐味だった「ノーシード制」は廃止され、2021年から他府県にならって「シード制」が導入された。今年も春季大会でベスト16に入ったチームが各ブロックに振り分けられ、2回戦からの登場となる(4回戦以降は再抽選)。
トーナメント表を見ると、シードのなかに公立校は3校。そのうち、大阪桐蔭、履正社、関大北陽、大体大浪商、興国、東大阪大柏原、東海大仰星といった甲子園出場経験がある強豪私立と並び、春季大会で公立校として唯一ベスト8に入ったのが堺東だ。
その春季大会では、準々決勝で大阪桐蔭に6回コールド(1対15)で敗れ、力の差を痛感させられたが、タイブレークで6点差を逆転した箕面学園戦(5回戦)をはじめ、近大泉州、精華といった中堅私学を次々と破る見事な戦いぶりを見せた。
レギュラーの平均身長は171センチ、体重は65キロ。飛び抜けて力のある選手がいるわけではなく、「走攻守」の3つのうち、明らかに1つ、もしくは2つ見劣りする選手たちが9つのポジションに就いたにも関わらず、快進撃を続けたのだ。
白地に紺を基調としたいかにも公立校らしいシンプルなユニフォームに身を包む堺東とは、はたしてどんなチームなのか。
「イケオジ」という言葉がピッタリの堺東・鈴木昭広監督 photo by Sportivaこの記事に関連する写真を見る
【野球以外の積み重ねが導いたベスト8】
先述した大阪桐蔭戦の試合後、GOSANDO南港のレフト奥のスペースで監督の鈴木昭広は選手たちを前に声を響かせ、春の戦いを締めていた。
「今日は完敗や。でもな、たまたまでこんな結果(ベスト8)にはならへん。おまえらが毎日積み重ねてきたものがあってこそや。そこは自信持ったらええんとちゃうか」
無駄な肉のない締まった体つきに、精悍な顔つき。その風貌はまさしく「イケオジ」だ。そんな指揮官の思いのこもった労いの言葉に、坊主頭で背筋を伸ばした選手たちが気持ちの入った返事で応える。
今の時代、こうした描写ひとつでも神経質にならざるを得ないが、目の前の張り詰めた空気は、熱を感じさせるこの指導者と選手たちが積み重ねてきた、濃密な時間のなかで生まれたものだということは、はっきりと伝わってきた。
1 / 5
著者プロフィール
谷上史朗 (たにがみ・しろう)
1969年生まれ、大阪府出身。高校時代を長崎で過ごした元球児。イベント会社勤務を経て30歳でライターに。『野球太郎』『ホームラン』(以上、廣済堂出版)などに寄稿。著書に『マー君と7つの白球物語』(ぱる出版)、『一徹 智辯和歌山 高嶋仁甲子園最多勝監督の葛藤と決断』(インプレス)。共著に『異能の球人』(日刊スポーツ出版社)ほか多数。



























