2024年の夏の甲子園を制するのはこのチーム! 高校野球を知り尽くす記者5人が優勝校を予想 (5ページ目)
今年春のセンバツでも活躍した青森山田・對馬陸翔 photo by Ohtomo Yoshiyukiこの記事に関連する写真を見る菊地高弘氏(ライター)
優勝予想:青森山田
春夏連続出場のなかでは大阪桐蔭、報徳学園、健大高崎の「3強」、投打にタレントが揃う花咲徳栄、東海大相模、智辯和歌山が優勝候補になるだろう。試合巧者の関東一、京都国際も目が離せないくせ者だ。
そんななか、筆者がとりわけ今夏の王座に近い存在と感じているのが青森山田だ。エース右腕の関浩一郎、怪力スラッガーの原田純希と投打の軸がいて、脇を固める人材も実力派が揃う。組み合わせ抽選の結果、2回戦から登場する巡り合わせのよさも追い風だろう。
関は最速152キロの球速が取り沙汰されるが、注目すべきはホームベース付近でも勢いを失わない球質のよさ。制球力、変化球の精度も兼ね備え、投手としての総合力は高い。ドラフト候補としてもっと評価されていい存在だ。2番手には、他校なら十分にエースを張れる櫻田朔が控えているのも心強い。
原田は身長170センチ、体重93キロの漫画『ドカベン』の山田太郎を彷彿とさせる左打者。今夏の青森大会準々決勝・八戸学院光星戦では2打席連続本塁打という離れ業を見せ、勝利に貢献している。スイングの破壊力が尋常ではなく、ひと振りで球場のムードを一変させられるのは魅力だ。
今春センバツでは1番打者の對馬陸翔、5番打者の吉川勇大が木製バットを使用し、快打を放つたびに甲子園スタンドを沸かせていた。今夏も時代を先取りするパイオニアぶりを印象づけられれば、甲子園の観衆を味方につけ、さらなる神風が吹くかもしれない。将来性抜群の2年生二塁手・蝦名翔人の成長にも注目したい。
今年の青森大会は近年稀に見る激戦だった。ドラフト候補左腕の洗平比呂ら複数の好投手が居並ぶ八戸学院光星、潜在能力が高い逸材左腕・金渕光希を擁した八戸工大一、吹田志道らハイレベルな投手陣だった弘前学院聖愛。そんな好投手だらけの群雄割拠を制した経験と勢いも大きい。
2年前に仙台育英が東北勢として初めて全国制覇を成し遂げた。北東北にも優勝旗が渡れば、高校野球界は次なるフェーズに突入するのではないか。そんな影響力を感じさせる戦いに期待したい。
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