【高校野球】2024年夏の甲子園は春夏連覇を目指す健大高崎、投手力の報徳学園、チーム打率4割超えの青森山田らの「センバツ出場組」が軸
この夏の甲子園は突出した力のあるチームがなく、有力校も横一線。また今春から導入された低反発バットの影響で、これまで夏の甲子園は「打てないと勝てない」と言われてきた傾向も変わるかもしれない。そのなかで上位グループを形成するのが、センバツ出場組だ。
春夏連覇に挑む健大高崎だが、エース・佐藤龍月がヒジ痛でベンチを外れるなど不安が残る photo by Ohtomo Yoshiyukiこの記事に関連する写真を見る
【春夏連覇を目指す健大高崎はエース不在】
センバツ優勝の健大高崎は、群馬大会で2度のタイブレークなど九死に一生を得る試合を制し、9年ぶりに夏の出場切符を勝ち取った。
甲子園初制覇の原動力となった3番の高山裕次郎、4番の箱山遥人(ともに3年)は群馬大会で打率5割以上をマーク。ふたりを中心とした打線はチーム打率.371に加え、三振が少なく、四死球を多く選べる選球眼もある。また5試合で試合数を上回る7本塁打を記録するなど、低反発バットの影響を感じさせない長打力も魅力だ。
ただ、気がかりなのが投手力。センバツで22回無失点と完璧な投球を見せたエース・佐藤龍月がヒジ痛で甲子園はベンチ外。150キロ右腕の石垣元気、群馬大会初戦で10連続奪三振を記録した左腕・下重賢慎の2年生コンビがどこまで踏ん張れるか。
夏は6年ぶりの出場となるセンバツ準優勝の報徳学園は、自慢の投手陣の層がさらに厚くなった。2年連続センバツ準優勝の立役者となったドラフト上位候補の今朝丸裕貴、間木歩の両右腕に加え、左腕の伊藤功真(以上、3年)も台頭。3投手合わせて50イニングで与えた四死球がわずか5個と抜群の安定感を見せた。
打線は打てる打者とそうでない打者がはっきりしているが、兵庫大会では3番の安井康起(3年)が打率.654の大当たり。春の3番から1番に打順が変わった西村大和(3年)、勝負強い4番・斉藤佑征(3年)らの中軸がどんな働きを見せるか。春は「勝負どころで代打を送れなかった」と悔やむ大角健二監督の采配にも注目だ。
センバツで報徳学園に敗れ、8強止まりだった大阪桐蔭は投手陣が充実。そのなかでも柱になるのは、189センチの大型右腕・2年生の森陽樹。大阪大会では決勝で先発を任され、15奪三振。スプリットやカットボールも使い、1年秋の時点で最速151キロをマークした球速ばかりではないことを証明した。
1 / 4
プロフィール
田尻賢誉 (たじり・まさたか)
1975年、神戸市生まれ。学習院大卒業後、ラジオ局勤務を経てスポーツジャーナリストに。高校野球の徹底した現場取材に定評がある。『明徳義塾・馬淵史郎のセオリー』『弱者でも勝てる高校野球問題集173』(ベースボール・マガジン社刊)ほか著書多数。講演活動を行なっているほか、音声プラットフォームVoicy(田尻賢誉「タジケンの高校野球弱者が勝つJK」/ Voicy - 音声プラットフォーム)でも毎日配信している。