【高校野球】2024年夏の甲子園は春夏連覇を目指す健大高崎、投手力の報徳学園、チーム打率4割超えの青森山田らの「センバツ出場組」が軸 (3ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka

 ただこの夏は、"高尾頼み"から脱却。左腕の山口大樹(3年)が、広島大会で21回を投げてわずか3安打35奪三振1失点とすばらしい投球を見せた。さらに2年生右腕の堀田昂佑(こうすけ)も安定感が出てきており、投手陣は万全。中井哲之監督が3投手をうまく使うことができるか。

 センバツでは大阪桐蔭に敗れて16強だった神村学園は、昨夏の甲子園ベスト4メンバー10人が残る。昨年から中軸を打つ正林輝大、岩下吏玖(ともに3年)が引っ張る打線は鹿児島大会でチーム打率.403、全5試合で8点以上を記録するなどと低反発バットの影響を感じさせない。

 投手陣もセンバツでは不調で先発できなかったエース・今村拓未(3年)、センバツで2試合に先発して好投した上川床勇希(3年)の両左腕に加え、2年生右腕の早瀬朔に使えるメドがたった。投手陣の踏ん張り次第では2年連続の4強が現実味を帯びてくる。

 センバツでは青森山田にサヨナラで敗れて初戦敗退だったが、春の近畿大会優勝の京都国際の評判も高い。狭いグラウンドで鍛えられた守備は、今夏も京都大会6試合でわずか3失策と健在。

 さらに強みは投手力だ。センバツでは冬に球威が上がったことが災いして力任せの投球になってしまった左腕エース・中崎琉生(3年)が本来の姿を取り戻し、2年生左腕の西村一毅も成長。西村は準決勝で龍谷大平安を8回2安打に抑えるなど、強豪相手にも任せられる存在になった。ふたり合わせて49イニングで7四死球と無駄な走者を出さないのも球数を少なくしたい夏にはプラス。

 また1年時からレギュラーの藤本陽毅(3年)、小牧憲継監督が「ポテンシャルはチーム1」という清水詩太(2年)らの攻撃陣は京都大会で準々決勝以降の3試合連続2ケタ得点を記録。甲子園でも勢いを持続できるか。

【投打充実の智辯和歌山は初戦がカギ】

 センバツ未出場組では、智辯和歌山の戦力が充実。5試合で3失策と堅実な守りで、和歌山大会では決勝で2失点した以外は0失点。看板の打線は、和歌山大会で打率.393を記録。6番の上田潤一郎(3年)が打率.600、2本塁打と好調だ。昨春のセンバツは優勝候補に挙げられながら初戦敗退。さらに昨夏は和歌山大会で初戦敗退と、近年"鬼門"になっている初戦を突破すれば勢いに乗るだろう。

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