神宮大会で注目を集めたプロが認める強打者3人 低反発バットでも存在感を示せるか (3ページ目)
関東一高の4番・高橋徹平 photo by Kikuchi Takahiroこの記事に関連する写真を見る
高橋徹平(関東一/2年/三塁手/180センチ・91キロ/右投右打)
バッターボックスでも三塁キャンバスでも、その異様なまでに分厚い太ももが存在感を放っている。高橋に「太ももの厚みを計ったことはありますか?」と聞いてみると、苦笑交じりにこんな答えが返ってきた。
「今はないんですけど、太っていた頃は73〜74センチありました」
現在の体重は91キロだが、高校入学当時は110キロもあった。チームメイトからは「ブーちゃん」の愛称で親しまれている。
米澤貴光監督の勧めもあって減量に取り組んだところ、「スイングする時に腰回りにキレが出てきました」と効果を実感した。飛距離を生み出す理由は技術面にも見てとれる。ボールを呼び込む際、高橋はわずかにグリップを下げてからトップまで引き上げる。いわゆる「ヒッチ」という動作だが、その点について聞くと高橋は意外なことを打ち明けた。
「中学からヒッチして打っていたんですけど、高校では監督から『やめたほうがいい』と言われて。今はヒッチが小さくなっているんですけど、無意識のうちに出てしまって。でも、打ち損じも多くなるので、これからはヒッチしないようにしていきたいです」
新チームから本格的に取り組み始めた三塁守備も板についてきた。あとは打撃面でさらに爆発力が増せば、注目度は一気に高まるだろう。
ただし、来春から新規格の低反発バットが導入されるという逆風もある。すでに新バットを試打したことがある高橋はこんな実感を語った。
「低反発バットは芯に当たらないと全然飛ばない印象です。冬に練習して慣れていきたいですね」
甲子園の主役になるために、ブーちゃんの挑戦は続く。
今回、投手編を含めて紹介した5選手は来春3月に開催されるセンバツへの出場が確実になっている。ひと冬越えた彼らがどこまで進化するのか、想像をふくらませながら春を待とう。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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