スカウトを悩ます甲子園出場投手の「人材難と進路問題」 そんななか「大会ナンバーワン」と絶賛された投手は? (5ページ目)
同じくプロ志望の浜松開誠館・近藤愛斗には「球速は出ているけど、打たれてしまう。時間はかかるタイプだと思いますが、大化けする可能性はあります」(パ・リーグスカウトC氏)という声が聞かれた。
プロ志望組以外では、二刀流で活躍した北海・熊谷陽輝は「投打に大型の好素材。打撃はパワーも柔らかさもある」、同じく北海の岡田彗斗には「いい時はすごくいい。リリーフだと圧倒的なピッチングができる」、東海大熊本星翔の玉木稜真は「140キロ中盤が出るし、コントロールもよくなった」と将来性に期待する声があった。
思い返せば、木更津総合の早川隆久(現・楽天)や大分商の森下暢仁(現・広島)は、高校の時点でプロ志望届を提出すればドラフト指名は確実だった。だが、早川は早稲田大、森下は明治大で腕を磨き、ともにドラフト1位でプロ入りした。投手には故障のリスクがつきまとうとはいえ、無理してプロに進むよりも、大学に進学して実力をつけるケースは多々ある。今夏の甲子園はスター不在だったが、数年後、この年代から球界を代表する投手が出てくることを楽しみにしたい。
著者プロフィール
田尻賢誉 (たじり・まさたか)
1975年、神戸市生まれ。学習院大卒業後、ラジオ局勤務を経てスポーツジャーナリストに。高校野球の徹底した現場取材に定評がある。『明徳義塾・馬淵史郎のセオリー』『弱者でも勝てる高校野球問題集173』(ベースボール・マガジン社刊)ほか著書多数。講演活動を行なっているほか、音声プラットフォームVoicy(田尻賢誉「タジケンの高校野球弱者が勝つJK」/ Voicy - 音声プラットフォーム)でも毎日配信している。
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