スカウトを悩ます甲子園出場投手の「人材難と進路問題」 そんななか「大会ナンバーワン」と絶賛された投手は? (2ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

準々決勝の花巻東戦で151キロをマークした仙台育英・湯田統真準々決勝の花巻東戦で151キロをマークした仙台育英・湯田統真この記事に関連する写真を見る 森と並んで高い評価を得たのが、今大会唯一の150キロをマークした仙台育英の湯田統真。昨夏はチームメイト・高橋煌稀の後塵を拝したが、今夏は背番号10ながら堂々の一番手に成長した。

「昨年からの成長ぶりに驚きました。四死球を出さなくなり、真っすぐ、スライダー、チェンジアップのどれも精度高く投げられる。あとは緩い球があれば最高です。完成度が高いピッチャーですね」(セ・リーグリーグスカウトD氏)

「高校生なので四隅のコントロールはまだまだですけど、勝負に行く球はいいですね。球速も変化球のキレも上がっていますし、将来は上位候補でしょう」(パ・リーグスカウトA氏)

 森同様、スカウトから高い評価を得たが、湯田は大学進学予定。また、チームメイトで昨年夏の優勝投手の高橋も146キロをマーク。スカウトは「もともとコントロールはいいし、ある程度投げられるのはわかっている。変化球のキレもよくなっている」と一定の評価を与えているが、こちらも大学進学予定だ。

 このほか、沖縄大会5試合31回3分の1を無失点、甲子園でも初戦のいなべ総合戦で完封勝利を挙げた沖縄尚学・東恩納蒼(ひがしおんな・あおい)も高い評価を得ている。

「高校生らしくないクレバーさがある。審判のストライクゾーンを確認しながら投げたり、『ランナーを出しても、ホームインさせなきゃいいんでしょ』というピッチングができる。あの投球ができれば点をとられないのも納得です」(パ・リーグスカウトC氏)

「ギアが三段階ぐらいある。高校生では敵なしの完成度です」(セ・リーグスカウトB氏)

 スカウト陣絶賛のクレバーさだが、東恩納も大学進学の予定だという。

【素材を評価されたふたりの左腕】

 ではプロ志望組で高い評価を得た投手は誰なのか。一番に名前が挙がったのが、大阪大会決勝で大阪桐蔭を3安打完封した履正社・福田幸之介だ。2回戦の高知中央戦で144キロを記録した速球が魅力で、左腕であることも大きいという。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る