「異色の経歴を持つ元高校生独立リーガー」BC茨城の渡辺明貴は、湯浅京己、宮森智志に続く掘り出し物となるか? (4ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • 写真提供/茨城アストロプラネッツ

 そうした努力の成果は投球動作に表れ、「脇腹がすごく使えるようになった」と小山田は指摘する。結果としてフォームが安定し、球速帯のバラツキも小さくなった。

 昨年は体重120キロほどあったが、現在は105キロ。188センチの渡辺は筋量を増やす一方、脂肪を減らした。茨城球団では定期的な計測を行ない、体の出力を上げながら故障しない身体づくりに取り組んでいる。以上の成果も加わり、渡辺は8月から高いパフォーマンスをコンスタントに発揮できるようになった。

「高校の頃にスカウトに見てもらっていた頃と変わったのは、球速帯が平均的に上がっていることです。フォークとカットボールでカウントを取れたり、三振を奪えたり。全体的にレベルアップしたと思いますね」

 好素材だった17歳の頃から、22歳の即戦力へ。周囲とは違う回り道をするなかで、多くの巡り合わせがあり、現在地にたどり着いた。

「この道を進んでいなかったら、今の僕はありません。自分が間違ってないことを証明するためにもNPBに行きたいですね。ドロップアウトして、『うわ、ダメだ』と思って、でも、もう1回野球をやろうと思っている人は何人もいると思います。そういう人でも野球を続けていれば上の世界に行けるんだよって、見せられればいいなと思います」

 今年もまたひとり、興味深いキャリアを歩む独立リーガーが夢の世界に至り、NPBに新たな彩りを加えてくれるだろうか。渡辺にとって"運命の日"は、まもなく訪れる。

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