「異色の経歴を持つ元高校生独立リーガー」BC茨城の渡辺明貴は、湯浅京己、宮森智志に続く掘り出し物となるか?

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • 写真提供/茨城アストロプラネッツ

 45ホールドポイントを記録してセ・リーグの最優秀中継ぎ投手に輝いた湯浅京己(阪神)、デビューから22試合連続無失点の日本タイ記録を樹立した宮森智志(楽天)と、今季のプロ野球では独立リーグ出身の2投手が好成績を残し存在感を示した。

「NPBのスカウトから、『独立リーグのレベルは上がったね』とよく言われます」

 茨城アストロプラネッツの色川冬馬GMが明かすように、背景のひとつには独立リーグのレベルアップがあると考えられる。加えて湯浅はドラフト6位、宮森は育成1位と比較的リーズナブルに実力者を獲得しやすいことも、NPB球団にとっては大きな魅力なのだろう。

 では、10月20日に行なわれる今年のドラフト会議で湯浅、宮森に続くような"掘り出し物"はいるのだろうか。

速152キロのストレートが武器のBCリーグ・茨城アストロプラネッツの渡辺明貴速152キロのストレートが武器のBCリーグ・茨城アストロプラネッツの渡辺明貴この記事に関連する写真を見る

村上宗隆や清宮幸太郎と同世代

 本番を前に評価を上昇させているのが、茨城球団の右腕・渡辺明貴(あき)だ。9月13日に行なわれたBCリーグ選抜対巨人三軍では8回に登板し、最速152キロを計測して三者凡退に抑えた。

「8月ぐらいからいろいろ噛み合って、最近は150キロを連発できるようになってきました」

 茨城球団でS&C(ストレングス&コンディショニング)コーチを務める小山田拓夢はそう話した。千賀滉大(ソフトバンク)も加入するオンラインサロン『NEOREBASE』を運営するひとりで、野球界のトレーニング好きにその名を知られる元投手だ。

「茨城に来る前のオフ、2020年の冬からパーソナルトレーニングで何回か見ました。最初は体幹も全然できないし、トレーニングをやったことがないような感じで......本当にゼロからのスタートでしたね」

 現在22歳で、村上宗隆(ヤクルト)や清宮幸太郎(日本ハム)らと同世代の渡辺が、最初にメディアの注目を集めたのは高校3年の頃だった。彼らのように華やかな道を歩んだからではなく、逆に"異色のキャリア"が目に留まった。

「高校生の時にBCリーグの滋賀に入って、その頃から監督たちには『NPBのスカウトが見に来ているから』と言われていました。そこから紆余曲折しながら海外に行ったりして、今に至ります。ここまで、だいぶ長かったなっていうのはありますね」

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