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2021年ドラフトの1位指名候補たち。圧倒的大物不在で指名はバラけるか!? (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 大学生投手は鈴木勇斗(創価大)山下輝(法政大)の2名も1位指名をうかがう。

 鈴木は昨秋の横浜市長杯でブレークした速球派左腕。空振りが奪えるうえに、打者のバットを押し返す球威は今年のドラフト候補でもトップ級。今年に入って変化球の精度が向上しており、「創価大OBの八木智哉(元日本ハムほか)より上」という評価もある。ただ、今季に入って自慢の快速球が鳴りを潜めているのは少し気がかりだ。

 山下は直前でドラフトをかき回す可能性を秘めた大型サウスポー。木更津総合時代からドラフト候補に挙がったが、法政大では1年時にトミー・ジョン手術を受けて長いリハビリ生活を送った。今春のリーグ戦では今ひとつアピールに欠けたが、今夏はオープン戦で開花の兆しを見せた。「あの状態なら当然、12人(ドラフト1位)に入ってくる」と語るスカウトも複数いた。

 だが、8月下旬に寮内で新型コロナウイルスのクラスターが発生したため、活動自粛を余儀なくされた。法政大のリーグ戦初戦はドラフト2日前の10月9日にずれ込んだ。もし、山下がドラフト直前の登板で衝撃的な投球を見せたら、各球団のドラフト戦略は大きなパニックを起こすかもしれない。

 社会人投手の筆頭格は廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)。昨年から公式戦で頭ひとつ抜けたパフォーマンスを披露しており、即戦力度は随一。最速154キロの剛速球に、縦に割れるカーブ、ストレートの軌道から小さく曲がるスライダーと高い次元の変化球を操れる。技術に対する探究心も旺盛で、チーム内にいい刺激を与える可能性を秘めた存在だ。是が非でも即戦力投手を補強したい球団は、廣畑に触手を伸ばすに違いない。

 この数カ月でドラフト上位戦線に急浮上してきたのは、高卒3年目左腕の山田龍聖(JR東日本)だ。高岡商では甲子園に出場し、根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)らを擁して春夏連覇した大阪桐蔭から11奪三振をマーク。侍ジャパンU−18代表にも選出されたホープだった。社会人では左ヒジ痛に悩まされたものの、回復した現在はイキのいいボールを投げている。気迫を前面に押し出し、ストレート中心に荒々しく投げ込む姿は夢がある。

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