上野由岐子が明かす長かったネガティブ時代。「やめたい。投げたくない。何で練習するの?」

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ソフトボール界の現役レジェンド
上野由岐子インタビュー 後編 前編:「4人の上野由岐子が投げている、という感覚」>>

 東京五輪で金メダルを獲得した女子ソフトボール日本代表。選手たちは所属チームに戻り、日本女子ソフトボールリーグの後半戦を戦っている。2大会連続で五輪の"胴上げ投手"になった上野由岐子も、ビッグカメラ高崎の投手として活躍を続けている。

 まったく衰えを見せずに進化を続けているように見える上野だが、北京五輪後には常に物事をネガティブに考えてしまう"負のスパイラル"から何年間も抜け出すことができなかったという。引退も考える状態からどう立ち直ったのか、上野が当時を振り返った。

現在もビッグカメラ高崎の投手としてリーグを戦う上野 photo by SportsPressJP/AFLO現在もビッグカメラ高崎の投手としてリーグを戦う上野 photo by SportsPressJP/AFLOこの記事に関連する写真を見る***

――上野さんが「世界」を意識するようになったのはいつ頃ですか?

「中学生の時に五輪を初めて知って、『いつか出場できる選手になりたい』と思うようになりました」

――高校生の時には、ジュニア世界選手権で世界一になりましたね。

「その時は『世界』とは何かまったく知りませんでしたし、訳がわからない状態で試合をしていました。『打たれたくない』という思いだけで、がむしゃらにボールを投げて優勝した、という感じでしたね」

――高校を卒業後、日本ソフトボールリーグ女子で最強の日立高崎ソフトボール部(現・ビックカメラ女子ソフトボール高崎)に入ります。練習環境はどう変わりましたか?

「当然のことですが、学業がなくなって多くの時間を練習に割くことができるようになりました。シーズン中は朝から晩まで練習し、オフの日にも午後はずっと練習をしていました。1日に6時間以上は練習して、そのうち1、2時間はピッチングをしていたと思います。長いですけど、当時は投げるのが好きだったので(笑)」

――当時は、ですか?

「今も、好きか嫌いかでいえば好きですけど、昔と同じような熱意だけで投げているわけではなく『仕事』の意識もあります。結果を出すために、自分がいいパフォーマンスをするために投球練習をしている。そういう感覚のほうが強いです」

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