上野由岐子が明かす長かったネガティブ時代。「やめたい。投げたくない。何で練習するの?」 (3ページ目)
――体づくりに関しては現在、鴻江寿治(こうのえ・ひさお)トレーナーのもとで行なっていると思いますが、どういった経緯があったのでしょうか。
「ぎっくり腰で動けなくなった時(2007年)に、井端弘和さん(元中日ドラゴンズなど/東京五輪では侍ジャパンの守備走塁コーチを務めた)が『(上野は)ソフトボール界の宝だから治してほしい』と、自分のトレーナーだった鴻江さんに紹介してくれたんです。それから、先生に診てもらうようになりました」
――上野選手が投球時に巻いているベルトも、鴻江さんがスポーツウェアメーカーの「デサント」と共同開発したものだそうですね。
「『コウノエベルト』ですね。私はパフォーマンス中、左肘、左膝の下、左足首、最近は左肩にも巻いています」
――上野さんは右利きですが、体の右側には巻かないんですか?
「私は体の左側に重心を置き、安定させてから投げたいので、左側にだけ巻いています。巻くと何が違うのかは......ちょっと感覚的な言葉になってしまいますが、ボールをリリースする時の感覚が違って、キャッチャーのミットに入る時の音が違うくらいボールの質も変わるのが、1球投げただけでわかりました。
ピッチングの際に、体が早く開いて正面が向いてしまわないように、その開く動きを制限してくれるように思います。巻いた時の感覚は人それぞれだと思いますが、『巻きたいと思わせる何かがある』という感じでしょうか(笑)」
――ご自身の努力、周囲のサポートもあって今後の活動をどう考えていますか?
「プレーヤー以外のところで、どれだけ活躍できるかが自分にとっての大きな課題です。どこまで自由にできるかを会社と相談しながらさまざまなことをやっていきたいですね。個人的には、自分のスキルを広く伝えていきたいと思っています。学生、実業団、日本代表の選手といったカテゴリーは関係なく、もっと高いレベルを目指しているソフトボーラーたちにしっかり伝授していきたいです」
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