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【高校野球】「怒られてもいいと思ってる」 昨夏優勝の沖縄尚学のエース・末吉良丞が比嘉監督を恐れない理由

  • 菊地高弘●文 text by Takahiro Kikuchi

沖縄尚学・末吉良丞インタビュー(前編)

 沖縄尚学の比嘉公也監督は、厳しく選手と向き合う指導者として知られている。

 練習中の選手と比嘉監督のやり取りを見ていても、選手からは指揮官に対する畏怖の念が伝わってくる。だが、エース左腕の末吉良丞(すえよし・りょうすけ/新3年)は別だった。泰然と、フラットに。口数は多くなくても、比嘉監督とごくふつうにコミュニケーションを取っていた。

2年春から3季連続甲子園出場となる沖縄尚学・末吉良丞 photo by Ryuki Matsuhashi2年春から3季連続甲子園出場となる沖縄尚学・末吉良丞 photo by Ryuki Matsuhashiこの記事に関連する写真を見る

【監督に怒られてもいい】

「『監督さんに怒られたらどうしよう?』と思うことはないですか?」

 そう尋ねると、末吉は平然とこう言い放った。

「怒られてもいいと思ってるんで」

 末吉によると、高校1年までは「なるべく怒られないようにしよう」という恐怖感があったそうだ。だが、やがて「バカバカしいな」という境地に至ったという。

「比嘉先生がなんで赤の他人である自分たちのために、本気で怒ってくれるのか。そう考えたら、先生は敵ではなくて味方じゃないですか。まずは自分のやりたいことをやって、結果的に間違っていても、どういう意図を持ってやったのか先生に伝えればいい。2年生になってから、そう思うようになりました」

 昨夏の甲子園。末吉はマウンドに太い根を下ろすかのように、どっしりと腰の据わった投球を披露した。その姿には、末吉の芯の強さが凝縮されていた。

 同期の実戦派右腕・新垣有絃(あらかき・ゆいと)との二枚看板で勝ち進み、全国制覇。2年生ながら侍ジャパンU−18代表にも選出され、沖縄開催のU−18ワールドカップでも奮闘した。最上級生になった今年は、ドラフト上位候補として注目されるだろう。

 身長175センチ、体重90キロ。たくましい体躯ではあるが、上背があるわけではない。両親に野球歴はなく、末吉も特別に運動能力に優れるタイプではない。ただし、末吉は「強いて言えば」と前置きして、こう続けた。

「小さい頃から肩だけは強くて、上半身の柔軟性はよかったと思います」

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著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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