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甲子園は「夢」から「目標」へ。都立高校野球部が強くなった理由 (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 共同通信社●写真 photo by Kyodo News

 都立高の強化が進む一方で、私学にはある異変が起きていた。「中堅私学」と呼ばれるレベルの学校が、軒並み低迷するようになったのだ。キーワードは「進学校化」と「共学化」。スポーツで名前を売って生徒を呼ぶのではなく、進学実績を重視する方向にシフトする学校が増えた。近年では日体大荏原、安田学園、岩倉など、男子校としてのイメージの強い学校も共学化の道を選んでいる。単純計算で全校生徒の半分が女子になれば、野球部員の数が減るのも自然だろう。

 また、ある中堅私学の監督は、こんな本音を漏らしていた。

「学費の面で比較されてしまうと、『都立に行こう』となる親御さんが多いんですよね……」

 2010年から2014年まで行なわれた公立高校の授業料無償制という施策も、中堅私学の「脱・スポーツ化」を促した感がある(現在は家庭の所得によって負担額が変わる制度に変更された)。少子化が進むいま、私学も生き残りをかけて必死なのだ。今年の4月から日体大荏原の監督に就任したばかりの相原監督はこう語る。

「いかにして荏原の魅力を打ち出して、中学生に選択してもらえるか。ウチも生徒が集められず、厳しい時期がありましたが、今年は50人の1年生部員が入ってきて脱却しつつあります。これを継続できれば、荏原の復活も近いと考えています」

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