箱根予選会に挑んだ放送大学関西の舞台裏...妻子持ちの34歳、多忙の研修医ら選手に一斉メール「明日はみんな来られますよね?」 (4ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi

【研修医ランナーが休みをとれない!?】

 こうして仲間が集まっていったが、それでも出場条件をクリアすることは難しかった。その理由を、外村が明かす。

「そもそも関西で10000mの大会って非常に少ないんですね。走力のある選手がペースメーカーをして、仲間を引っ張ったりしたんですけど、なかなか10人がそろわなかったんです」

 直前になっても厳しい状況は続いていたが、秋学期に条件を満たした選手が入学し、起死回生でエントリーすることができた。

 しかし、難題は次から次へと降り注ぐ。

「エントリーしただけで終わってしまうのではないかと、ヒヤヒヤしていました」(外村)

 全員が社会人である放送大学関西のメンバーは、土曜日に開催される予選会の前日に有給休暇をとって、参加することになっていた。しかし、研修医でもあるメンバーのひとりが、休みをとれないかもしれないという事態に直面した。

 結局、事なきを得たものの、会場入りするまでの行動はバラバラだったため、当日朝、全員の顔がそろうのか、最後まで不安だったという。

「あるメンバーが、グループLINEに『明日はみんな来られますよね? 来る人はリアクションしてください』とメッセージを送ったんですが、リアクションがあったのが8人だけだったんです(笑)。なんとか当日を迎えましたが、最後の最後まで不安でしたよ」(外村)

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