箱根予選会に挑んだ放送大学関西の舞台裏...妻子持ちの34歳、多忙の研修医ら選手に一斉メール「明日はみんな来られますよね?」 (2ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi

【偶然が重なりやってきた一度きりのチャンス】

 そもそも3年前にチームを立ち上げたきっかけには箱根駅伝予選会があった。

「予選会を目指そうと思って、放送大学陸上部をつくろうと思ったんです。でも、関西に住んでいるとルール上、出場できなかった」

 今回の100回大会の特例を除けば、予選会への出場は関東学生陸上競技連盟の登録者でなければならない。しかし、関西在住だと関東学連に登録できなかった。そこで、目標を丹後大学駅伝(関西学生対校駅伝競走大会)にシフトし、創部2年目に出場に漕ぎ着け、2021年から晩秋の丹後路でタスキをつないでいる。

 一度は諦めたはずの箱根駅伝予選会だったが、事態は急転する。昨年6月30日に、全国の大学に門戸が開かれることが発表されたのだ。

「本当に偶然に偶然が重なりました」

 4年生になる村上にとって、一度きりのチャンスが巡ってきた。

 だが、全国に開放されたからといって、簡単に出場できるわけではない。決められた期間内で10000m34分00秒以内の公認記録を持つ選手を10人そろえなければならないのだ。これが、なかなかハードルが高かった。

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