「本当にダメだった」最下層から若手期待の星へ 「大きい選手でないと活躍できない」を覆すガールズケイリン小泉夢菜の武器は150cm前半の体躯 (3ページ目)

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro


小泉はプロデビュー後も着実に結果を残している photo by Gunki Hiroshi小泉はプロデビュー後も着実に結果を残している photo by Gunki Hiroshiこの記事に関連する写真を見る 今、小泉は徹底的に他の選手の走りを見て、研究を続けている。自分のフォームの参考にするため、レースを走る相手の特徴を知るためだ。フィジカル面は発展途上にあるが、それでいて結果を残せているのは今、持てる力を最大限に発揮できる集中力と、戦術面に長けているからにほかならない。

「自分の強みはどんな展開になっても対応でき、戦術を何パターンも考えられるところだと思っています。当初は自分の脚質から先に仕掛けて逃げるかたちで勝負したほうがいいと思っていたのですが、全然勝てなくて......。

 自分の脚質ってなんだろう、勝てる選手になるにはどうしたらいいんだろうってすごく考えて、たくさんレースを見ましたし、先輩方やうまい方の走りをすごく見て、自分に似ている人も研究するようにしてから、だいぶ勝てるようになってきました」

 自分自身を見つめ、周囲の出方を観察し、ベストの対応をする。それがレーサー、小泉夢菜の本質だ。

【長期計画で飛躍を期す】

 以前は「ガールズケイリンはどこかで区切りをつけ、起業する」というセカンドキャリアのプランも描いていたが、今はできるだけ、現役生活を長く続けたいと考えるようになった。それは自転車の面白さ、自分の可能性の大きさに気がついたからだ。とはいえ起業の夢を諦めたわけではなく、現在、模索中だ。

「以前は海外で起業したいと考えていましたが、現役の間は無理ですね。今は自分に何ができるかを考え中ですが、もし起業がうまくいけば、きっと競輪に向けても気持ちが上がっていくと思うんです」

 エリートでありながら、低迷期も経験し、ここまで紆余曲折の自転車人生を送ってきた。その経験、すべてが現在の自分を作り上げていると話す小泉。そして今は、将来の理想の姿を描きながら、丁寧に計画を立ててキャリアアップを目指す毎日を送る。

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