14歳、14歳、15歳。女子中学生クライマー3人の東京五輪への道 (4ページ目)
「はい」と答えた森が、横にいる谷井を向いて「怖い?」と尋ねる。谷井は恥ずかしそうに「怖い」と返事をすると、間髪入れずに森が、「えーっ!」と目を見開きながら、この取材中一番大きな声。谷井は照れ隠しに笑いながら、「だってだって、最後に1ピンないとき(※)とか、めっちゃ怖くない?」と聞き返す。森が「そう? 怖くないよ。岩場だと怖いときもあるけど」とクールに受け止めると、谷井は「でも、今日の壁は大丈夫だったよ。場所によるね」と話題を仕舞い込んだ。
※最後に1ピンないとき=リード種目は課題を登りながらロープを確保支点にかけていき、最上部にある終了点にロープをかけたら完登になる。確保支点は等間隔で設置されているが、大会によっては終了点のひとつ手前の確保支点は設置しないケースもある。
14歳、中学2年生らしい会話を垣間見た後、伊藤のもとに向かうと、報道陣のカメラの砲列の前で代表質問を受けていた。
来年2月のBJCへの意気込みは「去年優勝できたので、今年も優勝したいと思います」。来季への抱負は「どんどん身体を作って、たくさん登って強くなりたいです」。来年の目標は「W杯に出られるので、いい成績を残せるようにがんばりたいと思います」。
伊藤をはじめ、森や谷井がどれほど好成績を残そうとも、まだ中学生。取材対応に慣れている28歳の野口のように、取材者が喜ぶコメントは望むべくもない。
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