14歳、14歳、15歳。女子中学生クライマー3人の東京五輪への道 (2ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

(左)森秋彩、14歳。茨城県出身。(右)谷井菜月、14歳。奈良県出身(左)森秋彩、14歳。茨城県出身。(右)谷井菜月、14歳。奈良県出身「伊藤ふたばは柔軟性が高く、自分の身体のサイズ感をよくわかっている選手です。いつも冷静でマイペース。どんなに緊張するような場面でも、決して自分を崩しません。

 森秋彩はクライミングの練習量がすごい。技術的な高さもずば抜けています。ホールドを持つ保持力も優れていて、クライミングの基礎力が高いレベルで備わっている選手です。

 谷井菜月はクライミングに限らず、他のスポーツをしても運動能力が高い選手ですね。性格的には内気で、誰かがやっているのにくっついていくタイプ。だけど、今回の合宿のように谷井よりも年齢が上の選手と一緒になると、そこについていき、大人がやることをできるようにしてしまう。持っている素養が高い印象があります」

 強化合宿最終日はスピード、ボルダリング、リードの順に3種目を1日でやる複合種目を想定したトレーニングが行なわれたが、印象的だったのは、伊藤が野中生萌(のなか・みほ)や野口と行動をともにして笑顔で会話していたのに対し、森と谷井はリードのオブザベ―ション(課題の下見)中、肩を寄せ合うように相談していた姿だった。

 その理由を尋ねると、先に口を開いたのは谷井だった。「リードのオブザベ(オブザベーション)は、私たちは身長が近いけど、他の人とは身長差があるから......」と、か細い声で話すと、それを聞いていた森はさらに小声で、「あと、緊張しちゃうので」と後を受ける。

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