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上谷沙弥が語るヒールターンと、中野たむとの敗者即引退マッチ「ここまで私を連れてきたのは間違いなくあの人」 (2ページ目)

  • 大楽聡詞●取材・文 text by Dairaku Satoshi

――その玖麗選手に、昔の上谷選手の姿を重ねたファンも多いと思います。

上谷:そうかもね。私も赤いベルトに挑戦するまで早かったし。玖麗の挑戦が決まって賛否両論あったかもしれないけど、試合で魅せてしっかり認めさせたよね。でも、まだこれからっていうのは、玖麗自身もわかってると思うし、大切なのは「玖麗さやか」というレスラーが、ここからどんな存在感を発揮していくかだよね。中野たむが引退した今、ベビーフェイスで誰が台頭していくか......すごく楽しみにしてるよ。

【黄金世代との別れ、そしてヒールへ】

――2024年3月に林下詩美選手がスターダム退団を発表。4月12日にラストマッチとして、"黄金世代"と言われた4人でのタッグマッチ(林下&上谷vs舞華&飯田沙耶)が行なわれました。

上谷:あの時の試合の空気は、今でも覚えてる。林下詩美は2歳年下だけどキャリアは1年先輩。あの人だけは、私が弱いところを見せても黙って受け止めてくれた。私は何かあれば、すぐに頼ってた。だから、スターダムからいなくなるって聞いた時に押し寄せてきたのは不安だった。「私はひとりでやっていけるのか」って気持ちが大きかったね。

――林下選手が退団したあと、コスチュームのメインカラーを赤にし、ユニットのQueen's Quest(クイーンズ・クエスト)を背負う覚悟を示したように見えました。

上谷:あの時に赤を選んだのは、「林下詩美の意志を背負う」という意味もあったけど、それだけじゃない。「赤いベルトを巻く」って信念も込めて赤にしたんだ。

――2024年5月19日には、プロレスリングWAVEに初参戦。他団体への出場はいかがでしたか?

上谷:スターダムのリングだけでは見えない景色があったから、刺激しかなかったね。「プロレスって、こんなにも多様なんだな」って気づかされた。特にWAVEは"コミカル"な戦いもあるし選手のキャラも濃いから、レスラーとしての引き出しが一気に増えたよ。その経験が新しい"武器"になったね。

――昨年6月22日には、「Queen's Quest vs 大江戸隊」の完全決着戦があり、敗れたQueen's Questからは上谷選手以外の選手が"強制脱退"する形となりました。

上谷:あの時は「Queen's Questのリーダーとしてやっていく」と心に決め、メンバー全員を背負う覚悟で戦いに挑んだ。だから負けた時の悔しさは言葉では言い表せない。背負うと言いながら、仲間を守れなかった。

 ただ、リーダーとして全部守っていこうって気持ちもあったと同時に、「すべてをぶち壊して、自分自身をイチから変えたい」という気持ちもあって葛藤してたね。

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