【F1】角田裕毅の課題は「接触の多いドライバー」からの脱却 目指すは「相手を引かせる」ドライビング
F1第19戦アメリカGPレビュー(後編)
7位のポジションをキープしながら迎えたアメリカGP後半戦。
残り27周をソフトタイヤで走りきるために、角田裕毅(レッドブル)はタイヤマネージメントに徹する。後方からは、なりふり構わぬプッシュをするオリバー・ベアマン(ハース)が迫ってくるが、角田はコース幅をいっぱいに使ったブロックで抑え込む。
34周目のターン15でインに飛び込もうとしたベアマンに対し、角田がさらにインへラインを変えたタイミングが合致。行き場を失ったベアマンはダートに逃げて、接触を回避しなければならなかった。
角田裕毅の改善すべき課題が克明に見えてきた photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る「彼(角田)は一度、左ラインを取って、その時点では僕が飛び込めるスペースはあったんだ。でも、僕が接近したところで、彼はブレーキングしてラインを変えた。何周かにわたってあちこちラインを変えてブロックしていたし、最終的に僕がノーズを突っ込もうとした時に、それを見てラインを変えてきたんだ。
ブレーキングゾーンでのライン変更はフェアではないし、相手の動きに対してリアクションしてああいうライン変更をすることは許されるべきじゃない」
ベアマンは厳しい言葉で角田のドライビングを非難した。たしかに角田のディフェンスはやや「相手が引かなければ当たる」という危うさがあちこちにあった。前周のターン14では横に並んだベアマンが押し出されそうになって引いていた。
これはスタート直後のアグレッシブさにも言えることで、スプリントでインに飛び込んで来た角田に対して、引かざるを得なかった数台のなかの1台がベアマンだった。
「僕としては、特に何か間違ったことをしたとは思っていません。ああいう結果になったのは残念でしたけど、あそこまではハードでいいバトルができていただけに残念でしたね」
角田はそう語ったが、今回のインシデントはスチュワードの審議対象とはならず、詳細な調査が行なわれなかったため、ベアマンの主張が正しいのかどうかの検証もされていない。
しかし、角田がベアマンやカルロス・サインツ(ウイリアムズ)、リアム・ローソン(レーシングブルズ)などと同様に「接触の多いドライバーのひとり」であることも確かで、絶対に結果を残さなければならない角田としては、「相手が引かなければ当たる」ドライビングではなく、「相手を引かせる」ようなドライビングが求められる。フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)やシャルル・ルクレール(フェラーリ)、そして王者になったあとのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のようなドライビングだ。
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著者プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。















