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プロレス衣装と覆面でアイドル活動をしていた辰巳リカは、「プロレスをやらせてください」と高木三四郎に直談判した (4ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko
  • photo by 林ユバ

 一方で、DPGは"ブラック"なグループだった。

「MV(ミュージックビデオ)を撮ったり、レコーディングをしたり、フェスでいろんな人たちと対バンしたり。いろんな経験をさせていただいたし、ライブをやること自体は楽しかったんですけど、ただ運営に問題があった。お給料ももらえませんでしたね」

 同時に、プロレスとの関わりを深めていく。最初に観戦したのは、DDT新木場大会。もともとプロレスには怖いイメージを持っていたが、試合当日は不思議と怖さを感じなかった。

「入場曲とか、音楽との親和性もあったり、紙テープが綺麗に舞ったり。選手のコスチュームもカラフルで、アイドル性も感じました。『キラキラしてるなぁ』とも感じたし、熱いし、ロックだなぁとも。技とかは全然知らなかったんですけど、自分をさらけ出して闘っている姿がエモーショナルだなと感じて、プロレスに惹かれていきました」

【高木三四郎を呼び止めて「プロレスをやらせてください」】

 DPGの活動を始めてから、「自分は何者でもない」と感じていた。得意なこともないし、優れているものもない。プロレスに惹かれる中で、「プロレスを自分の武器にできたら」と思うようになった。

 DDTビアガーデンプロレスでチラシ配りをした帰り際、同じくDPGのメンバーだった坂崎ユカ(当時はユカ・サカザキ)と一緒に高木三四郎社長を呼び止め、2人で「プロレスをやらせてください」と直談判。とんとん拍子に話が進み、辰巳と坂崎は東京女子プロレスの練習生になった。

 子供の頃から身体を動かすことが好きだった辰巳は、マット運動もそれほど困ることなくこなした。もちろん痛みはあり、練習はハードで苦しかったが、やると決めたからには全力でデビューを目指した。しかし当初は、女子プロレスの世界に対してネガティブなイメージを持っていたという。

「上下関係がとにかく厳しそうだと思っていて、(坂崎)ユカちゃんと怯えながら『挨拶と掃除だけはちゃんとしよう』という話をしてましたね。先輩の山下(実優)とか(中島)翔子とか、最初は怖かったけど、一緒に練習していく中で、信頼関係ができたらどんどん仲良くなりました」

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