米プロレス団体AEWの前王者・志田光が感じる日本とアメリカの違い。女優としての夢も語った (3ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko
  • 林ユバ●撮影 photo by Hayashi Yuba

 2018年10月、志田光10周年記念興行「Revenge」で丸藤と再戦する。壮絶な闘いになった。丸藤は容赦なく志田の胸元に強烈なチョップを連発。顔面に蹴りを食らわせ、志田を追い込んでいく。しかし志田はやられてもやられても立ち上がる。丸藤の余裕の表情が、次第に崩れていく――。しかし激闘の末、丸藤が必殺技「虎王」の2連発で勝利した。

 試合後のマイクで、丸藤は言った。「男と女には埋められない差があって、だけどプロレスなら埋められるぞ。リングに立てば同じプロレスラーだ」。

「男女の差ってあると思うんですよ。でも男性も女性も、生きていると『どうすんの、これ?』みたいな壁に立ち向かわなければいけない。だから私は、相手が男子でも女子でも、プロレスを通して壁に立ち向かうところを見せたい。『プロレス大好き!』じゃなかった人生だから。知らない間にプロレスがどんどん私の人生にしみ込んで、一部になっていった人生だから。そういう人生をお客さんに見せたいんです。めちゃくちゃカッコ悪い姿とかも見せちゃうんですけど、それが志田光なんですよね」

夢はハリウッド女優

 2019年4月、アメリカの新団体「AEW」と契約を結んだと発表。MAKAIとの契約も継続し、2団体所属となった。

「最初、MAKAIがあるからAEWはお断りしたんですよ。けど、『続けながらできますよ』と言われて。デビュー10周年で丸藤さんとアジャ(コング)さんとそれぞれシングルをやり、すごくやり切った感があったので、また新しいところでやるのもいいなと思ってお受けしました」

2020年5月から約1年、AEWの王座を維持した志田 photo by AEW2020年5月から約1年、AEWの王座を維持した志田 photo by AEWこの記事に関連する写真を見る 10歳で英語を習い始めた志田は、流暢な英語を話す。しかしそれでも、言葉の壁は大きかったという。

「やっぱり通訳を通さなきゃいけないし、字幕もつけなきゃいけない。『志田は英語で仕事ができる』と思ってもらえるまでが長かったですね。そこで初めてスタートラインに立ったというか。ようやくみんなと並んだ感じです」

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