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中谷潤人とNBAスーパースターのリラード、世界のトップ同士の共鳴 中谷は「ステップを取り入れた」

  • 林壮一●取材・文 text by Soichi Hayashi Sr.

【シーズンの最後に負った大ケガ】

2023-24シーズンからバックスでプレーするリラード photo by Soichi Hayashi Sr.2023-24シーズンからバックスでプレーするリラード photo by Soichi Hayashi Sr.この記事に関連する写真を見る 現地時間4月27日、NBA Playoff、ミルウォーキー・バックス対インディアナ・ペイサーズ第4戦、ティップオフから5分48秒が経過したところだった。バックスのエース、デイミアン・リラードがオフェンス・リバウンドを処理しようとした際、左足首を抱えてコートに倒れ込む。ペイサーズの選手と接触することなく、3ポイントラインよりややゴールに近い位置でうずくまった。

 バックスのホームアリーナであるファイサーブ・フォーラムは、静寂に包まれる。スコアは12-15で、バックスがビハインドを負っていた。Playoffファーストラウンドであるペイサーズとバックスの顔合わせは、2勝1敗でペイサーズがリード。4勝したチームが次のラウンドに駒を進めるポストシーズンにおいて、いや、バックスのなかで、リラードこそ最も重要な選手であった。

 ただ、今シーズンのリラードは右ふくらはぎの深部静脈血栓症で、3月下旬からおよそ1カ月間欠場している。その結果、バックスはレギュラーシーズンを東地区5位で終わり、同4位のペイサーズとPlayoffを戦っていた。

 チームメイトの手を借りて起き上がったリラードだったが、左足に体重をかけることができず、両脇をスタッフに支えられてコートをあとにする。MRI検査の結果、左アキレス腱を断裂したことがわかった。回復に時間を要するため、来シーズンの出場も危ぶまれている。

 リラードが退場した折、バックスは3点差を追いかけていたが、ハーフタイムまでにその差は11点に拡がる。結局、その日のゲームは103-129で、続く第5戦も118-119で落とし、バックスはシーズンを終えた。

 今日のバスケット界において、リラードはポイントガードとしてトップに君臨するスターである。2023年2月26日のヒューストン・ロケッツ戦では71得点をマークし、NBA史上シングルマッチ高得点選手のベストテン入り(当時8位タイ)を果たした。オールスターに選出されること9度。2024年には同MVPも受賞している。

 筆者は新型コロナウィルスが猛威を振るった2020年、2021年とポートランド・トレイルブレイザーズの番記者を務めたが、リラードが孤軍奮闘しながらもPlayoffで勝ち上がれない様を目にしていた。ひとりだけ、まるでレベルが違った。

 そんな彼が、2021年のNBAチャンピオンであり、リーグを代表するパワーフォワード、ヤニス・アデトクンボとの共闘を望み、昨シーズン、バックス移籍を決めた際には胸が躍った。とはいえ、34歳のベテランとなったリラードが、故障がちであるのも事実だ。

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著者プロフィール

  • 林壮一

    林壮一 (はやし・そういち)

    1969年生まれ。ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するもケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。ネバダ州立大学リノ校、東京大学大学院情報学環教育部にてジャーナリズムを学ぶ。アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(以上、光文社電子書籍)、『神様のリング』『進め! サムライブルー 世の中への扉』『ほめて伸ばすコーチング』(以上、講談社)などがある。

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