【F1】角田裕毅は1年目のレースエンジニアと二人三脚で成長する「僕らの関係性には伸びしろがある」
F1第6戦マイアミGPレビュー(後編)
マイアミGP決勝は、角田裕毅(レッドブル)にとってかなり苦しい戦いになった。
タイヤがグリップせず、ペースが上がらない。第1スティントは前のフェラーリに着いていけず、後続の中団勢をカバーするためにピットインしてタイヤ交換を済ませたらVSC(バーチャルセーフティカー)が導入されて、もう1台のフェラーリに先行を許す展開。
そしてピットインの際、ロックアップ(※)してピットレーン速度違反を犯してしまい、5秒加算ペナルティを科された。そのことで後続に5秒のギャップをつけなければならず、余計なプッシュを強いられることになってしまった。
※ロックアップ=走行中に車輪の回転運動がストップしてしまうこと。
角田裕毅はまだレッドブルに加入して4戦目 photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る「今日はもう、最初からずっと攻めていました」
終盤のイザック・アジャ(レーシングブルズ)との見えないタイムバトルと必死のドライビングについて聞かれた角田は、そう言って苦笑いした。そのくらい、最初から最後まで全力で走らなければならないレースだった。
「マシンバランスが悪いというか、とにかくグリップが薄いという感じでした。マックス(・フェルスタッペン)を見ても、今日のレースは僕だけじゃなくチーム全体としてかなり苦戦を強いられましたし、ペースも全然ありませんでした。何が原因でそうなってしまったのか、これからしっかりと分析する必要があると思います」
ポールポジションからスタートしたフェルスタッペンも、序盤にマクラーレン勢に抜かれて後退し、VSCの前にピットインしたことで失った3位のポジションをジョージ・ラッセル(メルセデスAMG)から取り戻すだけの速さはなかった。
残り10周でペースを上げて5秒以内に入ってくる後方のアジャに対して、角田はバッテリーを使ってペースを上げるべく、パワーユニットのモード変更を要求した。レースエンジニアのリチャード・ウッドはまだ1年目であるため、レーシングブルズ時代からホンダ製パワーユニットに慣れ親しんできた角田から積極的にリードしようという意思も感じられた。
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著者プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。