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サッカー日本代表のイングランド勝利に、メディアは「ワールドカップ優勝」を頓着なく使い始めた

  • 杉山茂樹●文 text by Shigeki Sugiyama

連載第85回
杉山茂樹の「看過できない」

 イングランドに1-0で勝利した日本。筆者が日本の勝利以上に驚かされたのは、"正規軍"とは言えないイングランドに、主力級メンバーで固めた日本が一方的にボールを支配されたことだ。ピッチ上に鮮明に描かれた弱者対強者の構図に落胆せずにいられなかった。

 日本の得点機を含めたチャンスの数を3回とすれば、イングランドは10回ぐらいあった。番狂わせが起きにくいラグビーなどと違い、サッカーは劣勢だった側が勝つことがある。それに紐づけて「日本は連係連動した」とか理由をつけて、勝因を探ることもできる。大喜びすることもできる。

 しかし、もう1回戦えばどうなるのか。メンバーを揃えたイングランドと10回戦えば何度勝てるのかという確率論を持ち出すと、両者に大きな戦力差を感じずにはいられない。日本がメンバーを落としたイングランドに一方的にボールを支配される姿を見せられると、「勝った、勝った」と大喜びすることが気恥ずかしくなる。試合内容と結果がここまで一致しない試合も珍しいというのが、素直な感想である。

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著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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