2022.03.02

女優とプロレスの二刀流を実現する志田光。「1年だけ」から始まったスターへの道

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko
  • 林ユバ●撮影 photo by Hayashi Yuba

■『今こそ女子プロレス!』vol.3
志田光 前編

(vol.2 赤井沙希>>)

 ひとり、薄暗い舞台の中央に立ち、遠くの一点を真っ直ぐに見つめる。強い意志に満ち溢れたその眼光に、観客は心を奪われる。次の瞬間、彼女は覚悟を決めたかのように剣を天に向かって突き上げた。「我こそは、魔界の扉を開く者!」――。

 ロックバンドの生演奏が始まり、次々と敵が彼女に襲い掛かる。現役のプロレスラーたちによるアクションシーンは、この舞台『魔界』の目玉だ。その中心にいる彼女の名前は、志田光。アメリカの新団体「AEW」で活躍するプロレスラーだ。

MAKAIとAEWの2団体で活躍する志田MAKAIとAEWの2団体で活躍する志田 この記事に関連する写真を見る 「魔界って、私の夢の形のひとつなんです。プロレスがあって、お芝居があって、歌がある。だれが役者さんでだれがレスラーかわからないくらいボーダーレスに繋がっていて、『志田光はこうありたい』という夢の形なんですよ」

 魔界は「演劇」「音楽」「プロレス」を組み合わせたハイブリッドエンターテイメントショー。陰陽道をモチーフに、非業の死を遂げた戦国時代と四国、中国の武将たちを、プロレスラーや役者が演じる。

 公演前日、鶴姫役の志田光にインタビューを行なった。コロナ禍で来日することが難しく、志田が魔界に出演するのは2年ぶりだ。

「鶴姫という役をもう5年以上続けているので、役がだんだんと自分にリンクしてくるんですよね。もともと品のあるキャラクターだったのが、私が演じることでどんどん負けず嫌いになってきたり、私自身も鶴姫の芯の強さとか、何度も悲惨な目に遭っているのに諦めないところとかに影響を受けている。どんどん、役とひとつになっていっている感覚です」

 印象に残っている台詞があるという。「大三島の光は決して消えぬ。私がいる限り!」――。

「鶴姫はさんざん苦しめられてきたけど、どんなに魔界に暗闇が迫っていても、私がいる限り魔界を照らし続けるっていう。自分という存在の肯定でもあり、自分が前に立つ覚悟でもあるんですよね。私もそういうふうに強く闘っていきたいなと今でも思います」

 まさに、志田光の生き様そのものを表しているかのような台詞だと思った。