【MLB】菅野智之がメジャーデビュー数カ月でトレード? 計算できるピッチングに他球団からのラブコールも少なくない
この夏、ボルチモア・オリオールズはトレード市場で「売り手」に回るかもしれない。
夏のトレードは、買い手と売り手によって行なわれるのが一般的だ。買い手の球団は、ポストシーズン進出あるいはその先のワールドシリーズ優勝を目指し、補強を施す。それに対して売り手の球団は、将来に目を向け、買い手がほしがる選手と引き換えに若手を得る。英語でもまさにそのとおり「Buyer(バイヤー)」「Seller(セラー)」と表現する。
菅野智之がオリオールズから移籍する可能性も... photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る 過去2年ともポストシーズンに進んでいることからわかるように、オリオールズは再建中の球団ではない。けれども、今シーズンは4月を終えて12勝18敗(勝率.400)と出遅れた。ア・リーグでこの時点の勝率がオリオールズを下回ったのは、7勝23敗(勝率.233)のシカゴ・ホワイトソックスだけだった。
まだ白旗を掲げるには早いとはいえ、状況は厳しい。菅野智之は7登板で防御率3.00を記録しているものの、先発投手陣の防御率は5.66だ(5月3日時点)。菅野を除くと、先発防御率は6.53となる。3登板で防御率3.00のザック・エフリンは右の広背筋を痛めて、先月初旬から負傷者リストに入っている。
昨シーズンのエースだったコービン・バーンズは、FAとなってアリゾナ・ダイヤモンドバックスと6年2億1000万ドル(2025年〜2030年)の契約を交わした。「真のエースが不在」という下馬評は菅野が覆しつつあるが、ローテーションは機能していない。
このまま初夏を迎えても浮上できなければ、今秋のポストシーズン進出をあきらめ、来シーズンに捲土重来を期す──という選択肢も現実味を帯びてくる。
その場合、7月31日のトレード・デッドラインまでに放出される可能性が高い野手は、今オフにFAとなるセドリック・マリンズとライアン・オハーンだろう。ふたりとも今シーズンは7本のホームランを打ち、出塁率は.375を超えている(5月6日時点)。
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著者プロフィール
宇根夏樹 (うね・なつき)
ベースボール・ライター。1968年生まれ。三重県出身。MLB専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランス。著書『MLB人類学──名言・迷言・妄言集』(彩流社)。