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錦織-チャン体制が好例。トップ選手の隣に『レジェンドコーチ』あり (3ページ目)

  • 神仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 当時マリーはGS決勝で4連敗し、メジャータイトルにどうしても手が届かなかった。だが、「多くの人がそう思わない時でも、イワンは僕を信じてくれた」と、マリーは、我慢強く自分と向き合ってくれたレンドルを心から信頼し、自分自身の力を信じられるようになった。そして、12年9月にUSオープンで初優勝。ついにGSタイトルを獲得したのだった。

 レンドルとの師弟関係が終了した後、マリーは、14年6月から、06年オーストラリアンオープン(全豪)とウインブルドン優勝者で、元女子世界1位のアメリ・モレスモをコーチにつけた。当初は、女性をツアーコーチに帯同させるのかと、周囲は好奇と懐疑の目で見ていたが、マリーは意に介さず、彼女のGS優勝の経験を高く評価していた。

 いずれも共通しているのは、GSでの優勝などトップレベルでの実体験に基づいたレジェンドコーチたちの豊富なアドバイスを、選手達が状況を打開するために求めている点だ。

 そして、16年シーズンに入って、レジェンドコーチ事情に新たな動きがあった。

 ミロシュ・ラオニッチが、1998年全仏優勝者で元世界1位のカルロス・モヤをコーチにしたのだ。

「自分のゲームをより効率的なもの、より良いものにしてくれる手助けをしてもらえると思った。オンコートでもオフコートでも多くの識見を与えてくれる。自分は、試合後にスイッチオフして完全にリラックスすることがうまくできなかったけど、彼が心を穏やかにしてくれる。彼には莫大な知識があるから、僕を手助けしてくれると思う」

 こう語るラオニッチは、16年全豪で初めてベスト4入りし、ATPランキングを14位から11位まで上昇させ、早速レジェンドコーチ効果を発揮した。

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