錦織-チャン体制が好例。トップ選手の隣に『レジェンドコーチ』あり
かつて、どのスポーツでも『名選手必ずしも名監督にあらず』などと言われていたが、今やワールドテニスツアーでは、名選手が名コーチに十分なり得ることが実証されてきており、テニス界では"レジェンドコーチ"という造語ができているほどだ。
日本で一番馴染み深いレジェンドコーチといえば、錦織圭が、2013年12月から招聘したマイケル・チャンだ。当時、なかなかトップ10入りを果たせなかった錦織は、選手時代の豊富な経験と実績を持つチャンからのより説得力のある助言を求めた。チャンは1989年ローランギャロス(全仏)で初優勝後、90~91年にトップ10に定着できない時期があった。そんなチャンに、錦織は自分を重ね、自らの成長する姿をイメージしようとしたのだ。
錦織圭とマイケル・チャンコーチのタッグは3シーズン目に突入
たしかにチャンは名選手だったが、当時ツアーコーチとしての実績は中国の女子選手を一時指導したことがあるぐらいで、ほとんどゼロに等しかった。指導者としてのチャンに懐疑的な部分は当然あったが、それはすぐに払拭された。
「会うまでは(不安が)ありましたね。どういうコーチングをするのか、最初はわかりませんでしたし。一緒にやっていくうちに、彼のアドバイスだったり、ひとつひとつ言うことが本当にプロフェッショナルというか、尊敬できることばかりなので、不安はすぐになくなりました」
偶然にも14年シーズンから、コーチとして現場復帰したのはチャンだけではなかった。
1 / 4