2016.02.05

全豪ベスト4のカナディアン、
ミロシュ・ラオニッチの知られざる素顔

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva   photo by AFLO

 先の全豪オープン4回戦で世界4位のスタン・ワウリンカ(スイス)を破り、準決勝では世界2位のアンディ・マリー(イギリス)をも瀬戸際まで追い詰める大接戦。グランドスラム・ベスト4という結果以上に、長身のカナディアンの破壊力に満ちたプレーは、メルボルンの地に強烈なインパクトを刻み込んだ。

全豪オープンでベスト4まで勝ち上がったミロシュ・ラオニッチ 196センチの長身から打ち込む、時速240キロを計測する超高速サーブ。素早くネットに駆け寄り、強烈に叩き込むボレー。長い腕をムチのようにしならせ、コートに突き刺す強打。そして、頂点を取ることへの覚悟やあくなき向上心と、それが可能であると確信しているかのような自信ぶり......。長きにわたりベテラン勢が支配するその閉塞感に穴を開ける存在として、錦織圭と並んで期待を集めているのが、昨年末に25歳を迎えたばかりのミロシュ・ラオニッチである。

 世界中のどこでプレーしてもカナダ国旗で迎えられるラオニッチだが、彼が生まれたのは1990年、情勢不安に揺れる旧ユーゴスラビアだ。一家が新天地に移住したのは祖国解体の翌年で、ラオニッチが3歳のとき。父親は、原子力の研究に携わる科学者。母親も同じ分野の研究者で、母方の叔父は後のモンテネグロ副首相という、エリート家系の出自である。