「ポスト八村塁」級の素材が4人も! バスケU19ワールドカップで史上初のベスト8を目指す日本の「秘密兵器」とは? (4ページ目)

  • 永塚和志●取材・文・撮影 text & photo by Kaz Nagatsuka

岡田大河@2004年5月23日生まれ岡田大河@2004年5月23日生まれこの記事に関連する写真を見る<3>
岡田大河(おかだ・たいが/19歳/PG/174cm/セントロ・バスケット・マドリード)

 今回のU19日本代表ロスターで最も面白い存在と呼べそうなのが、この174cmの左利きポイントガード、岡田大河だ。

 15歳から日本を飛び出してヨーロッパの強国・スペインで研鑽を積んできた。日本人が「海外でのプレーを希望する」などと言う時、それはほとんど自動的にアメリカ、そして究極的にはNBAのことを意味するなかで、メインストリームとは違う道を歩んできたことが彼を稀有な存在にする。

 元日本リーグ・さいたまブロンコスの選手で、自チームの静岡ジムラッツを率いてアメリカ独立リーグABAに参戦した父・岡田卓也の後押しもあったが、息子の大河は「バスケットボールIQを磨きたかったからスペインを選んだ」という。今回、U19ワールドカップで初の代表招集となったことからも、その選択が間違いでなかったことがわかる。

 スペインではセントロ・バスケット・マドリードに所属。同チーム下部組織のU16、U18チームでプレーし、2021-22シーズンはスペインのプロ4部にあたるEBAドラゴンズ・クロレラでプロデビュー。2022-23シーズンは平均10.8得点、5アシストと活躍した。

 今年2月のNBAオールスターウィークエンドには、NBAとFIBA(国際バスケットボール連盟)共催で世界の有望選手が集まる「バスケットボール・ウィズアウト・ボーダーズ(BWB)」に招待されている。

 今回のU19日本代表で岡田の次に身長(174cm)が低いのが185cmの選手だから、サイズのなさは一目瞭然だ。しかし一方で、生き馬の目を抜く厳しいスペインのプロリーグで早くから競争に揉まれながら生き残ってきた経験は、ほかのメンバーたちを凌駕する。

 ひとつのプレーが試合を左右することを、岡田はよく知っている。U19ワールドカップでも「チームを勝利に導くパフォーマンスが見せられたら」と静かに語る。

「ラクな場面より、絶対に苦しい場面、我慢しないといけない場面が多い大会になると思うんです。だけど、そのなかでパス1本、シュート1本でチームに流れを持ってこられるように、フリーの選手、シューター陣にうまくアシストしたり、『誰が当たっているか』『調子は悪いけど、どこなら決められるか』などを考えながら少しでも勝利に貢献できるようにしたいです」

 公開練習の際も物怖じせずに囲んだ報道陣の目をゆっくり見回しながら、立て板に水のごとく言葉を紡いだ。ヨーロッパのプロの世界に身を置いてきたことが、あるいはそうした成熟さにつながっているか。理知的な印象を受ける岡田には、人間的な魅力も感じる。

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