【女子バレー】NEC中川つかさをセッターとして成長させた皇后杯決勝の1本のトス「今でも自分のなかに残っている」
NECレッドロケッツ川崎
中川つかさインタビュー 後編
前編はこちら>>中川つかさが3度目の日本代表で徹した役割
SVリーグ優勝に向けて、プレッシャーと戦いながらも活躍をつづける中川つかさ photo by AFLO SPORT 激動の日本代表シーズン、そして世界選手権の盛り上がりから間もない10月11日に開幕したSVリーグ。
中川つかさだけでなく、佐藤淑乃、和田由紀子、山田二千華、日本代表で活躍した顔ぶれがそろい、早くもチャンピオンシップ進出を決めたNECレッドロケッツ川崎の試合には連日多くの観客が訪れている。
昨年までを遥かに上回る盛り上がりと注目度。選手としてはやりがいしかないのではないかと思いきや中川は「すごく嫌だった」と苦笑いを浮かべる。
「たくさんの方が来てくれて、そこでバレーができるのはありがたいこと。でも、それだけ多くの方が期待してくださっている以上は負けられない。その"負けられない"という感情自体が受け身になっているんです。しかも開幕が(SAGA)久光で、大阪マーヴェラスの試合もすぐにあったので、ものすごくプレッシャーでした。もしも負けたら『こんなに代表がいるのに負けるんや』と言われるだろうし、そうなれば(ポジション的に)私に矛先が向けられる。それが嫌だし怖かったんだと思います」
とはいえ始まれば開幕10連勝と好スタート。集客力もあり、強い。心を惹きつけられるファンが増えるのも納得なのだが、それでも中川には勝った試合よりも負けた試合のほうが色濃く残る。SVリーグで喫した5敗はもちろん、昨年末、マッチポイントを握りながら逆転負けを喫した皇后杯決勝では、自らの選択を「今もそれが正解だったか考えている」というほど、深く刻み付けられた1本がある。
なぜ、あの場面でその選択をしたのか。
司令塔、中川が今も悔やむ1本の理由を、初めて明かした。
【1本の選択で変わった結果】
――勝ち続けているからこそあえて、負けた試合をどう捉えていますか?
「最初に負けたのが11月15日のPFU(ブルーキャッツ石川かほく)。勢いのあるチームなので試合に入る前から『やられるかもしれない』という予感がありました。NECは、実際に強さもあるけれど同時に弱さも脆さもある。それが出たのが皇后杯(12月21日/対大阪マーヴェラス)の決勝でした。特に最後の3点に弱さがもろに出ていました」
――先にマッチポイントを握ってからの逆転負け。中川さんが言う「弱さ」は具体的に言うとどんなことですか?
「この1点は絶対に取りたいという場面で取りきれていませんでした。でもそれまでは、最初にリードしているからこそ、1、2個ブレイクされてもそのまま逃げきって勝てていたんです。
それが皇后杯では、その取りきれない悪いところが出ました。マッチポイントの場面で、私自身が最後にどこを選択するかというところでミドルに上げたんです。その直前に相手のマーヴェラスがタイムを取っているんですけど、私はそこでもどこを使うか迷っていました。決められないままコートに戻って、相手がサーブを打つギリギリの瞬間まで『どうしようかな』と考えていました。(相手の)ブロックシステムを考えたら、レフトに2枚来るのがわかっていたので、ライト側は1枚になるからそこでブロードか、バックアタックか......。
淑乃とシッソ(シルビア・チネロ・ヌワカロール)、ジア(ジョバンナ・ミラナ・デイ)、誰を使っても決められる自信はあったんですけど、(山田)二千華さんの調子がずっと上がってこないことも頭に引っかかっていたので、ここで決めなきゃ私も二千華さんも殻を破ることができないんじゃないか、という思いがあの瞬間に込み上げてきたんです。1点取れば勝てる、だけど殻を破ってほしい。どっちを選択すればいいんだろう、とギリギリまで悩んで、だけどここは決めてもらわないと困る、と思って二千華さんに上げたんです」
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