富永啓生はNBA選手になれるか?「ディフェンス面で改善の余地がある」NCAAを知る「先駆者」松井啓十郎が魅力と課題を語る (6ページ目)
---- アメリカに行って「サイズで勝負できない」となった時、日本人選手は3Pを含めたシュート技術を磨いたほうがいいのでしょうか?
「バスケットは『点を入れるスポーツ』なので、いかに点を入れるかで競い合います。よって、誰かがシュートを打たなきゃいけない。そして、シュートの確率が高い選手がチームに勝利をもたらします。
今後もバスケットのルールが大きく変わらないのなら、100年後もシュートのうまい選手は絶対に生き残っていける。日本人が体格的に小さくて能力的にできないことがあったとしても、シュートは突き詰めていかなきゃいけないですね」
---- そして、コミュニケーションも大切です。英語力も身につけておいたほうがいいですよね。
「そうですね。NCAAディビジョン1に行くと決めているのなら、意識して英語を勉強しておかなきゃいけないです。アメリカで使われる英語は、日本で勉強するのとはまったく違いますから。
英会話学校に通っていたからといって、アメリカですぐ話せるレベルにはなりません。そこは意思を持って勉強に取り組まないと、自分の可能性を潰してしまいます。今の若い子たちには、本当に英語を勉強してほしいなと思っています。
英語を真剣に取り組んでいれば、高校からでもアメリカに行けるかもしれない。そして高校、大学とバスケットをやって、たとえNBAに行けなかったとしても、英語を身につけたというメリットはなくなりません。その経験を持ち帰って、日本のバスケットを発展させることもできます。
NBAに行くことができなくても、それは失敗じゃない。ほかの人たちとは違ったものを絶対に得られるので、僕はアメリカに行くべきだと思います」
【profile】
松井啓十郎(まつい・けいじゅうろう)
1985年10月16日生まれ、東京都杉並区出身。10歳の時、初来日したマイケル・ジョーダンとバスケイベントで1on1を経験。中学卒業後に単身渡米し、モントローズ・クリスチャン高校に留学。2005年からコロンビア大学に進学して日本人男子初のNCAAディビジョン1選手となる。大学卒業後はレラカムイ北海道→日立サンロッカーズ→トヨタ自動車アルバルク東京→シーホース三河→京都ハンナリーズを経て、現在は富山グラウジーズに所属。愛称「KJ」。ポジション=シューティングガード。身長188cm、体重85kg。
著者プロフィール
永塚和志 (ながつか・かずし)
スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。
Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、 2019W杯等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。 他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験 もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社) があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・ 篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社) 等の取材構成にも関わっている。
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