角田裕毅「速すぎたゆえ」予選Q1トップからの悲劇 しかし日本GPに向けてついにマシンは仕上がった

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 予選Q1のタイムシートの最上段に、「TSUNODA」の文字が光った。

 もちろんまだ、アタックするマシンは何台もいる。しかし、そのラップタイムを上回る者はなかなか現われない。そしてランス・ストロール(アストンマーティン)の大クラッシュによる赤旗提示。

 角田裕毅は、シンガポールGPの予選Q1でトップタイムをマークした。

 赤旗の恩恵を受けたとはいえ、20台中12台がすでにアタックを終えていた。つまり、残り8人全員に上回られたとしても、最低でも9位につける速さを持っていたことになる。

角田裕毅が予選Q1でトップタイムをマーク角田裕毅が予選Q1でトップタイムをマークこの記事に関連する写真を見る アルファタウリがシンガポールGPに持ち込んだアップグレードパッケージは、非常によく機能した。角田が記録したQ1のトップタイム1分31秒991は、Q2でも6位で通過できてしまうほどの好タイムだった。

「改善できているのは間違いないと思います。特にリアサポートに関してはそうですね。コーナーのエントリーでより高いスピードをキャリーできるようになっていますし、そこでラップタイムをゲインすることができています。コーナリング中のマシンバランスもよくなっていると思います」

 事前のシミュレーションでは0.2〜0.3秒というゲインを見込んでいたが、実際にドライブした角田は「期待値よりもちょっと上」と語った。

 予選Q3進出は間違いない。その手応えがあったからこそ、ソフトタイヤを残すべくQ1では2セットしか投入しなかった。

「マシンは想定どおりに機能していましたし、Q1はとてもよかったと思います。なのでQ3に行ける自信もかなりありました。でも自分のアタックラップのせいで、それができませんでした」

 Q2最初のアタックは、前でアタックを終えたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とラインが交錯するかたちになり、タイム計測を断念。

 残る1セットで確実にアタックを決めればQ3進出は可能な情勢だったが、ターン14でブレーキをロックアップさせてしまい、コースオフ。

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著者プロフィール

  • 米家峰起

    米家峰起 (よねや・みねおき)

    F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。

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